フワトロオムレツがドン!「のってるオムライス」

というわけで、「のってるオムライス」と定番の「オムライス」双方を注文していただきます。
まずは、「トキワ」の焼き印がかわいらしい「のってるオムライス」。卵を3つくらい使用していそうな大きなオムレツは、お皿を動かすと卵がたゆみ、なんだか切るのがもったいなくなるほどの愛おしさがあります。

フォークで卵に切れ目を入れると、湯気とともにドレスがひろがるようにふわっと卵があふれ出てきました。思わず「おぉ~」と声が出る瞬間です。見るからにトロットロの卵がお皿いっぱいに広がり、食欲をそそるビジュアルになりました。

フワトロの卵とチキンライスを口に入れると、旨みたっぷりのライスが絶妙にマイルドになります。美味しさを引き立てる卵と、優しい味わいのチキンライスの設計が実に繊細で、「東海エリアイチ」という噂にも納得の絶品な味わいでした。
昔懐かしいシンプル・イズ・ベストな「オムライス」

続いては、薄く焼いた卵生地に包まれた王道スタイルの「オムライス」。焼き目や白身のかたまりもない、均一に火の通ったキレイな黄色の卵がとても綺麗です。その美しさにスプーンを入れることを少々躊躇しますが、迷わず入れると中からチキンライスのほのかな酸味が鼻腔をつき、なんとも食欲をそそられます。

実際の味は「のってるオムライス」よりチキンライスの印象が強めである一方、全体のバランスは実に素晴らしく、「オムライスの完璧すぎるお手本」と表現したくなるシンプル・イズ・ベストな味わい。こちらもまたかなり美味しくいただくことができました。
1921年創業の洋食店の子孫店だった!
どちらのオムライスも絶品で、行列ができるのも納得の味でしたが、「どうして岐阜県関市の住宅街でオムライス専門店があるのか?」など、謎も多かったため、食後に店員さんに声をかけ話を聞きました。忙しいなか丁寧に対応してくださった店員さんは、お店のなりたちを教えてくれました。
「1921年に名古屋で先代が創業した『ときわ食堂』という洋食店がルーツです。しかし、戦時中に名古屋の店は空襲を受けて炎上。その後、先代の地元である岐阜県関市に店を移しました。その後、『レストラントキワ』『洋食屋トキワ』『厨房1921』と店名を変えていきました。
この変遷の中で、今から30年ほど前から大手の飲食店が続々と開店し、『個人店には専門性が必要なのではないか?』と考え、人気だったオムライスに絞ることにしました。『オムライス専門店』という飲食店がなかったことも理由の一つです。後の2011年に現在の店の名に変更し現在に至りますが、とにかくまず食べにお越しいただければ嬉しいです。他店とは一味違うオムライスを提供させていただいています」(店員さん)
まとめ
これだけの歴史、味わいにして1プレート600~700円でいただけるコストパフォーマンスの良さも魅力です。ぜひ刃物の町・岐阜県関市の散策と合わせて『トキワ 1921』に訪れてみてはいかがでしょうか。絶品のオムライスで、頬が落ちまくることウケアイです。
(取材・文◎sora、松田義人(deco))