●福井名物として知られる「大福あんぱん」。パンの中に大福餅が入った、ユニークなパンは何故生まれたのか? そのストーリーと味を探る!
日本各地には、「ご当地パン」が存在しています。近年では各地で「パンフェス」や、地域物産店などで気軽に触れられるようになりましたが、そんな中で全国から注目を浴びている福井県の名物パンがあります。それが「大福あんぱん」です。
丸ごと1個の大福餅を包んで焼き上げたというユニークなあんパンですが、実は40年以上の歴史があり、パンの本場フランスでも紹介されたという由緒ある一品だそうです。
今回は、この「大福あんぱん」の出自を探りに、福井県鯖江市にある製造元の『ヨーロッパン キムラヤ』を訪ね、取締役副社長の古谷聖津子さんにインタビュー。さらに肝心の味についてレビューします!
パリに渡った子を思う母の愛から誕生した「大福あんぱん」
福井県鯖江市は日本屈指の「メガネの生産地」として知られ、そのシェアは日本の9割以上とも言われています。このメガネの町・鯖江に『ヨーロッパン キムラヤ』はあります。
『キムラヤ』とある通り、「あんぱん」を考案した東京の『木村屋』(現在の『木村屋總本店』)からの暖簾分け店として誕生した由緒正しいパン店です。『ヨーロッパン キムラヤ』初代の古谷伍一さんが、東京の『木村屋』で奉公をしていた際、関東大震災に遭い、鯖江に赴任していた兄を頼りこの地に住み、その4年後の1927年(昭和2年)に『木村屋』の暖簾分けのカタチで『ヨーロッパン キムラヤ』を開店。その後1980年に2代目が『ヨーロッパン キムラヤ』と会社組織に変更。福井にフランスパンを広めたことでも知られています。
古谷聖津子さんさんによれば、「大福あんぱん」を考案したのは、その2代目・古谷欽一さんだったとのこと。
「2代目がパリへと赴く際、パリで暮らす大福好きの日本人の友人を驚かすために考案したのが、最初の成り立ちです。パンに包んだ大福餅は、パリで暮らす友人の母親から預かったもので、遠い異国の地で暮らす子を想い友人の母親が2代目に大福餅を託したそうです。その思いを受けて、大福餅の柔らかさを保つために、パリで『幸せの象徴』とされるブリオッシュ生地で大福餅を包んで焼き上げたと聞いています」(古谷聖津子さん)