まるでマットレスのような巨大なカステラにびっくり
目を見張るような巨大さ。縦厚みも7~8cmはあるだろうか。まるでふかふかのマットレスのようだ。唖然としていると、お店の人が、これまたびっくりするようなロングナイフで切り分け始めた。

1つ分もかなりの大きさである。「プレーンが焼き上がりました!」とお店の人。店内のメニューを見ると、「プレーン」はたったの680円。他に「生クリーム入り」880円や季節限定品として、「イチゴカステラ生クリーム入り」1,100円がある。

初訪問なので、「プレーンと生クリームを1つずつ」と注文すると、焼印をそれぞれに押して専用の箱に入れてくれた。生クリーム入りは奥から登場し、カステラの間に、これまた2~3cmの厚みの量でたっぷりと入っている。


箱を2つ渡されると、ついそわそわとしてしまう。店にはイートインスペースがないのだ。焼きたてである。すぐに食べたい。家まで待てない。家に帰る頃には萎んでしまうかもしれない、もはや“夢”のような大きさなのだ。
そこで、うろうろした挙句、近くの公園に駆け込んで食べることにした。箱の中からごそごそ巨大カステラを出していると、遊んでいる子ども達が不審そうな顔で見てくるが、気にしていられない。

箱の中の紙に包まれた巨大カステラ「プレーン」は、まだ大きいままだった。触ってみてもふかふか。ちぎって口の中に入れると、想像以上にふわふわだ。この食感は、今まで知っているカステラではないし、蒸しパンでもない。一番近いのはシフォンケーキのようだが、それよりも軽く、きめ細かく、そして何と言っても卵の味が濃いのだ。甘さも軽め。だからお腹にたまる感じが一切しない。

たぶん、空気もたくさん含んでいるからだろう。大きさの割にカロリーもかなり低いはずだ。こんなに巨大カステラなのに太らずに済むなんて!と、勝手な解釈で一人でほくそ笑みながら、ふわふわ気分で食べていると、子供たちの視線を感じた。きっと卵の濃厚な香りで、子どもたちにも美味しいとわかるのだろう。

帰宅後、再び箱を開けてみると、なんのことはない。巨大カステラは巨大な大きさをそのまま保っていた。
今度は「生クリーム入り」を食べてみる。これは巨大な“牛乳パン”のようだが、プレーン同様、ふっかふか。そして生クリームは、まるで砂糖を使っていないのではないかと思うほど甘くない。やっぱり、これも“太らない”系のヘルシーなヤツだ。そして実にコーヒーに合う。

そういえば、店で、お客さんの70代とおぼしき品の良い女性が言っていたのを思い出した。
「昨日、2歳の孫と一緒に食べました。牛乳と一緒に食べると、“おめざ”にいいんですよね。でも1つでは全然足りなかったので、また買いに来たんです。今日は人数分買わなきゃ」
確かに、プレーンは牛乳に合いそうだ。おそらく切り分けても、手が止まらず、気づいたら2人で全部食べてしまっていたに違いない。
お店の人も言っていた。「はちみつやイーストソーダ、化学添加物を使っていないから、離乳食の赤ちゃんからお年寄りまで安心して食べられます」
見た目の大きさだけでなく、インパクトや美味しさも特大級。取説には、冷蔵庫に入れることで旨味が凝縮すると書いてあるので、手土産にもいい。台湾発だが、これは高円寺の新名物になりそうである。ぜひ、「新カステラ」をチェックしてみてほしい。
(取材・文◎土原亜子)