「餃子定食」を使ってこってりスープを味わい尽くす

さっそく昼時の天一に入店すると、ほぼ満席状態。相変わらず大人気です。さっそくメニューを広げます。筆者がいつも頼むのは「こってり」ですが、鶏の唐揚げや豚キムチ、ホルモン野菜炒め、チャーハンなどがラーメンとセットになった定食メニューも豊富。特に天一の唐揚げは、専門店顔負けの美味しさです。
さっそく友人にこってりスープを楽しみ尽くす方法を聞いてみると、「ギョウザ定食(ラーメン・ギョウザ6個・ごはん)を頼み、ラーメンはこってり、スープを増量、あと“赤ん粉(あかんこな)”2辛を別皿でもらう」と教えてくれました。
![『天下一品 高円寺店』のメニュー[食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2022/04/20220424-tenichi04.jpg)
ちなみにこってりのスープを増量すると100ccで100円、そして「赤ん粉」というのは、3種類の唐辛子(ハバネロ種、天鷹種、韓国種)と山椒、黒胡椒をブレンドした天一のオリジナルスパイス。1~3辛まであり、2辛は100円です。
なかなか面白そうなので、友人と同じものをオーダーしてみることに。

友人に「ギョウザ定食」の食べ方を聞いてみると、こうでした。
1.まずは普通に「こってり」を楽しむ
2.麺がなくなったら丼にギョウザを入れて“こってりスープ餃子”にする。この時、お好みで卓上の酢や、ラー油、胡椒などで味を調整。
3.最後はスープの中にライスを入れてリゾットに。途中から赤ん粉を入れて辛いリゾットに味変する
なるほど、確かにこってりスープを極限まで楽しみ尽くせそうです。さっそく実践してみることに。

まずは、こってりを普通にいただきます。久しぶりに食べると、やっぱり安定の美味しさです。何度食べてもこのコクとまろやかさにシビれます。今や日本中にこってり系のラーメンがあり、筆者も色々食べてきましたが、天一のこってりスープこそがこってりの極地であり、美味しさの原点なのだ…と感慨深く遠い目をしてしまうのです。
さて、麺を食べながら、おもむろに餃子をスープの中に落としてみました。そして卓上のお酢をちょっと加えて食べてみると、おおっ、これは確かに美味しい!

“スープ餃子”というよりも、餃子に濃厚なタレやソースを絡めて食べているような感覚です。餃子餡のニラやニンニクなどの風味とこってりスープの相性が抜群で、餃子の皮を破り、中にたっぷりスープを染み込ませたくなります。
美味しくて6個の餃子をあっという間に完食。麺もなくなりました。そして、いよいよ〆です。ここで最初にスープ増量にした効果が出てきます。そう、この時点でもスープがたっぷり残っているのです。

ご飯を投入してかき混ぜると、ご飯がスープをぐんぐんと吸っていき、超濃厚な中華リゾットのような雰囲気に。ご想像どおり、マズいはずがない。というか悪魔的な美味しさです。
しばらくリゾットを楽しんでいたら、友人が「そろそろ赤ん粉を入れよう」と言い出しました。「ここまではこってりスープの穏やかな一面を見てきたけど、この粉のひと振りでこってりは全然違う表情を見せ始めるよ」と、ミスター味っ子か山岡士郎のようなことをつぶやいています。

そこで赤ん粉を入れて、よくかき混ぜて食べてみると…。思わず「!」となりました。文字にすると「辛い」、「旨い」という単純な言葉になってしまいますが、例えるなら、香辛料を巧みに使ったスパイスカレーを食べているような感じなんです。ターメリックやクミンといったカレー独特のスパイスは入っていないので、カレー味ではないのですが、唐辛子や山椒、黒胡椒の香りと辛さで、非常にエキゾチックな味わいになるのです。
というわけで、「こってり」のスープは、餃子の極上のタレになったり、スパイシーなリゾットになったり、ただのラーメンスープにとどまらないことが判明。改めて「こってり」の偉大さに感激しました。何より、「赤ん粉」とこってりスープの相性は抜群。『天下一品』に行ったらぜひお試しを。美味しいですよ。
(撮影・文◎土原亜子)