デフォ「野菜炒め」「肉」ともにご飯との相性超バツグン!

冒頭でも触れた通り、『ベジ郎』があるのは渋谷の東急本店に隣接する『Bunkamura』の真横です。界隈は渋谷屈指の文化的なエリアである一方、ラブホテル街の入り口でもある場所ですが、一見そのどちらにもリンクしなさそうにも思える「野菜炒め」が、ここでいただけるというのもまた面白いです。
店内に入ると、すでに続々と入るオーダーに対し、厨房で忙しなく野菜炒めが作られていました。その炎と香りは、まさに町中華同様ですが、違うのは野菜の圧倒的物量。一気に大量のキャベツ、もやし、たまねぎ、にんじんなどが炒められていきます。

筆者はまず「野菜炒め(マシマシ)」をオーダー。程なくしてテーブルにサーブされましたが、ドカ盛りの野菜炒めの上には、ガッツリと背脂が乗っています。自ずと食欲がそそりますが、いただいてみると、これが旨い!

町中華でいただく「野菜炒め」の香ばしさをさらに引き上げた味わい。醤油・生姜・ニンニクの味付けで、野菜炒めの上に背脂が乗っており、これでも十分ご飯が進みます。

さらに筆者は「肉特盛り」なるメニューもオーダー。『ベジ郎』で言うところの「肉」とは唐揚げを指すようで、「野菜炒め」に唐揚げが和えられた一品です。一瞬「唐揚げと野菜炒めって合うの?」と思いましたが、口に入れてビックリ。意外や意外、その親和性はすこぶる高めで、これがまたご飯が進む一品。通常の「野菜炒め」よりも、さらに強い食べ応えを求める人には、この「肉野菜炒め」をオーダーすると良いと思いました。
コロナ禍の外食産業への打撃を受けての開店だった!

野菜炒めには店頭にあるカレー粉、酢、ベジの素といった調味料をかけていただくことで、「味変」を楽しめます。
かなりの食べ応えを楽しめましたが、しかし、「野菜炒めだけに特化した店」というのは前例があるようでないものです。八百屋さんを運営していた企業が出した店とはいえ、その背景には何か秘密がありそうにも思いました。そこで『ベジ郎』を運営するフードサプライの広報担当・向井昇さんに話を聞いてみました。
「もともとは新型コロナウイルスの感染拡大の影響がありました。私どもは外食産業向けの八百屋を運営していますが、外食産業の売り上げの大幅減の影響で、当社も売り上げの大半を失うことになりました。しかし、当社のような業者には協力金はありません。また、各地の生産者さんも卸し先へ出荷する量が減り、収穫した野菜を廃棄せざるを得ない状態が続いてしまいます。そこで当社では、野菜の廃棄ロスを回避すべく、野菜をたくさん食べられる業態を考えつき、この『ベジ郎』の開店に至りました」(フードサプライ・向井昇さん)
他方、今回いただいた通り、『ベジ郎』の「野菜炒め」は町中華のそれをさらに引き上げるかのような美味しいものばかりでした。この味の秘密・こだわりについても聞きました。
「大きく分けて以下の3つがあります。
・八百屋が運営している強みを活かした産地から届いた野菜をタイムリーに店舗で使用するところ
・強火力で一気に炒める事により家庭では再現出来ないシャキシャキ食感を演出
・試作を重ねて完成させたオリジナルダレ3種
こういった味のこだわりにより、美味しい野菜をたくさん召し上がっていただけるよう工夫しています。『ベジ郎』の直営店は渋谷のみですが、今後はもともとの卸先だったクライアントさんを始め、外食企業の方々に、フランチャイズなどで展開していただきたいとも考えています。本当に美味しい野菜炒めですので、ぜひ一度ご賞味いただければ幸いです」(フードサプライ・向井昇さん)
興味深い試みと合わせて、ガッツリと美味しい野菜炒めをいただける「ベジ郎」。かなりオススメのお店です。渋谷に行く機会がある方は、ぜひ一度食べに行ってみてください!
(撮影・文◎松田義人)