羊づくしで異国気分を満喫!

最初に登場したのは「シリンゴルサンド」。中央に置かれた春餅(小麦の皮)で、羊肉や卵、春雨の炒めもの、キュウリやネギを巻いて、甘味噌で食べる料理です。

北京ダックに似ていますが、食べてみると似て非なるもの。羊の独特の香りが鼻をフワッと抜け、シャキシャキの野菜がそれをさっぱりと包んでくれます。これは羊料理の前菜にぴったり。

続いて「羊肉のボーズ」(蒸しまんじゅう)です。一般的な小籠包の2倍くらいの大きさで、アッツアツ。
小椀に取って肉汁がこぼれないようにかじると、小籠包のように中から肉汁がジュワ~ッとほとばしります。濃厚な羊エキスがぐいぐい全身に染み渡って最高の気分です。

そして、いよいよこの店の看板料理「チャンサンマハ(骨付き羊肉の塩茹で)」が運ばれてきました。薄いビニール手袋がセットになっているので、それをはめて手づかみでいただく豪快な料理です。

各自1本の骨を手に取り、ナイフで骨から肉を削いで、醤油ベースのタレで食べるというスタイルです。
削いだ肉を口に入れるとしみじみと滋味深く、「羊ってやっぱり美味しいなあ」と思わせてくれます。肉をガツガツ食べ、片手に残った骨を持ってしゃぶり尽くしていく…「食べる」ではなく「喰らう」。この無我夢中で野性的な感覚。最近、こういうワイルドな食体験がなかったので、めちゃくちゃ楽しい!
羊肉と格闘していたら、お店の人が大きなやかんから、茶碗にお茶を注いでくれました。モンゴルのミルクティーだそうです。

「軽く塩味がついていますが、足りなければ塩を足してください」とお店の方。塩味のミルクティーを飲むのは初めてですが、これがめちゃくちゃ美味しいんです。
濃い茶葉とまろやかなミルクの味。しょっぱいのにやわらかな甘みも感じる。この後、モンゴル製のウォッカを飲んだりもしたのですが、筆者はこのミルクティーが一番お気に入りになりました。
次回は『シリンゴル』の羊鍋を食べに再訪したいと思います。
(撮影・文◎土原亜子)