iPhoneとほぼ同じ高さの「バラちらし」

さっそく「バラちらし」をオーダーしましたが、着丼したそれを見て驚愕。玉子、きゅうり、鯛、マグロ、トビっこ、サーモン、いくらなどが「これでもか!」とテンコ盛りに盛られています。どこから箸を入れれば良いのか戸惑うほどですが、同時にこのビジュアルがビビッドで、映えそうでもあります。

さっそく、店名にもある絶品のわさびと醤油につけていただきましたが、バラちらしに乗せられているネタはどれもプリプリで魚臭さがいっさいありません。正直、「バラバラにして刺身とか寿司ネタにしたほうが儲かるだろうに……」と思うほど良いネタである一方、その物量は一般的な海鮮丼の4倍はあろうかというほどの盛り。
いったいどうなっているんでしょうか。かなり美味しく、お腹いっぱいになることは間違いないですが、逆にお店が1200円で採算が合うのかどうか心配になるほどでした。
もはや「ネギトロ巻」の概念を超えるびっくりネギトロ

続いて、その名の通りの「びっくりネギトロ」(680円)をいただきます。いわゆるネギトロ巻きかと思いきや、遥かに飛躍しており、きゅうり巻きの上にマグロの切り身とすり身がドーンと盛られています。

盛りに盛られたマグロのすり身を一度お皿の端っこのほうに置き、それをわさび・醤油に付け、きゅうり巻きをいただくと、まさに頬が落ちるほどの美味しさ。こちらも鮮度が良く臭みがいっさいありません。これだけの量のマグロのすり身を一度に食べたことがなかった筆者でしたが、かなり贅沢に味わうことができました。
鮮度の良いネタを使える理由は、直接の買い付けと業者さんたちの協力にあった!

さすがに食べきれなかった筆者、残すのはもったいないので、お店の方に頼んで残りをパックにして持ち帰ることにしました。すると、ここでも発見が。持ち帰ってしばらくは、刺身の鮮度が全然落ちないのです。
季節にもよりますが、通常マグロなどは、常温に置いておけば、すぐに色が茶色く変化します。しかし、すしわさびのバラちらしのそれは持ち帰ってしばらくは全く色が変化しませんでした。おそらく、元々の鮮度とクオリティが良いネタがあるからなのでしょうが、ここでもまた、『すしわさび』の「ネタの良さ」を実感しました。
これだけのクオリティのネタを、惜しみなくモリモリに盛った「バラちらし」、「びっくりネギトロ」。どうしてこの価格と鮮度を実現できるのでしょうか。寿司の統括責任者・安弘幸さんに聞きました。

「ネタは自ら市場まで直接買い付けに行き、本当に良いネタを選び抜いています。また、飲食業に長く関わってきた経験上、古くからお付き合いのあるお取引先様にも多大なご協力をいただいていることで、良いネタをお安く、贅沢に提供できています。
お寿司屋さんが第一に大切にすることは『新鮮なネタ』です。これに加え、神保町はオフィス街でもあるため、特にランチ時はボリュームも必要でしょう。これらのことから、『バラちらし』、『びっくりネギトロ』は採算よりもお客さまが『ワー!』と喜んでいただけるような『盛り』にしています。ランチ時だけでなく、夜間はお寿司と飲みをカジュアルに楽しんでいただけるよう、良いネタをたくさん取り揃えています。ぜひ一度ご利用いただければ幸いです」(安さん)

ドカ盛りが名物と言うと、いかにも「女人禁制!」な雰囲気のお店が多いものですが、『神保町 すしわさび』は写真の通り、オシャレな雰囲気でもあります。デートなどでも良さそうな雰囲気でのドカ盛り海鮮、ぜひ一度食べてみてください!
(撮影・文◎松田義人)