自分史上最高のオムライスに出合った

入店すると、そこは誰もが想像するであろう、由緒正しき町中華の雰囲気。渋めのオレンジ色のキーカラーが店に統一感をもたらしています。「何にしましょ?」と女将さんに聞かれたので、もちろんオムライスを注文。さらに380円という目を疑うような価格の「ラーメン」、そしてせっかくなので「肉団子」と「肉の天ぷら」も頼んでシェアすることにしました。

待つこと数分。目の前に、オムライスがドンと置かれました。なだらかな弧を描く丸いフォルム、黄色い背景に映える深みのあるケチャップの真紅色、そして裾野から遠慮がちに顔を覗かせる薄いオレンジ色のライス…。宝石のような美しさです。
剣道の達人は、相対するだけで相手の実力がわかるといいます。筆者は剣士でも何でもありませんが、この時ばかりは直感で察しました。このオムライスが絶対に美味しいやつであることを。

いざ、味わってみてそれは確信に変わり、中央部にスプーンを入れてみると、さらなる衝撃が走りました。ハードタイプに見えた卵ですが、真ん中付近だけは、バーのマスターの証言通り、とろりとした半熟だったのです! これがややパラッとしたケチャップライスにとろとろと染み込んでいきます。口にしてみたら、危うく昇天しそうな味わい。これはスゴい…と友人と顔を見合わせます。
また、店によってはベチャッとしがちなケチャップライスも、さすが町中華、実に理想的なパラパラしっとり具合。さらに、卵にかけられた深みのある真紅のケチャップも、甘ったるさゼロで、ただならぬ美味しさ。思いもかけず、自分史上最高のオムライスに出合ってしまいました…! ありがとうマスター。