やわらか極上のムネ肉からあげ

こちらのおすすめはムネ肉のからあげです。モモ肉のからあげを出すお店が多い中、こちらは開店当初はムネ肉からあげのみだったそう。さっそく「旨塩唐揚げ定食」(790円)をいただくことにしました。
登場したのは、1個60gはあろうかという大きなからあげ。色も白く、店内の照明に照らされてキラキラ輝いているようで美しいこと。グルテンフリーの片栗粉を使用しているそうで、薄めのフワッとした食感の衣が、すぐに肉と一体になってくれます。一番驚いたのは、とにかく肉がやわらかいこと。
一瞬「モモ肉?」と思ってしまったほどで、ムネ肉でここまでやわらかいものにはなかなか遭遇できません。パサパサ感もなく、スジッぽさもなく、ほっくりとしたやさしい食感。さらに肉汁もたっぷり。あっさりめの味付けなので肉のうま味がグイグイ迫ってきます。

一体どうやったらこんなやわらかいムネ肉からあげができるのか?「漬けダレに数日間、揚げる直前までしっかり漬け込んでいます」と店主の松原さん。厨房をちょっとだけのぞかせていただきましたが、肉に衣を付ける松原さんの手付きが寿司職人のよう。

うまい具合に肉を丸めて、皮も外側になるよう、ていねいにかつ素早く仕上げていきます。ちなみにこのムネ肉からあげ、わさび醤油を付けるのが松原さんおすすめの食べ方。「寿司職人の発想ですかねえ」と松原さんは笑います。実際、わさび醤油を付けて食べると、確かに絶妙の美味しさ。これはイケます!

もちろん、モモ肉のからあげもちゃんとあります。それが「極もも唐揚げ定食」(1000円)。これまたジャンボサイズからあげが登場。衣は2種類の粉をブレンドしたものだそうで、ムネ肉のものとは異なりザクッとした歯ざわり。

ニンニク醤油の風味がグンと迫ってくる、ごはんがすすむ味です。このほか、おろしポン酢をつけて食べるモモ肉の塩からあげや、カレー味のからあげ、チキン南蛮や油淋鶏もあり、メニューのバラエティーも豊富。しかもソースはすべて自家製とのことで、松原さんの並々ならぬこだわりが感じられます。

ランチタイムは界隈のビジネスマンや学生に人気のお店ですが、夜は夜とてからあげでお酒を楽しむ人が集まるそうです。テイクアウトもやっており、取材中もお客さんが途切れませんでした。ヘルシーで極上のムネ肉からあげを食べてみたいという人は、ぜひ訪れてみてください。
●著者プロフィール
松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。