
「うどんにコシは大事なのか」という議論がなされることが多い昨今ですが、個人的にうどんの思い出を振り返ってみると、「コシ」はさほど重要ではなかったことに気づきます。子どもの頃、お母さんが作ってくれたうどん、鍋の〆のうどん、蕎麦屋で食べた鍋焼きうどん。どれも柔らかくてもっちり。うどんの色が変わるほど味が染みていて……そうそう、似ているのは、喫茶店で食べるナポリタンです。アルデンテやコシなんてなくても、ほっこりした安心感があったのです。
ところがいつの頃からか、「どうだ、硬いだろう、これがコシだ」と言わんばかりに、ゴワゴワ、ワシワシとしたうどんが幅を利かせるようになったのはご存知の通り。そんなコシ至上主義に、少々、顎も体も疲れていた折に、うどんの安心感を思い出させてくれるお店に出合いました。それが東京・文京区にある『二代目 甚八』。

ここは三重県のご当地グルメ「伊勢うどん」が食べられる東京では数少ないお店の1つで、ランチ時はいつも大盛況の人気店なんです。「伊勢うどん」といえば、極太麺を1時間弱も茹でて、柔らかいのが特徴のご当地うどん。これは確実に安心感が得られるはず! とうことで、さっそく食べに行ってきました。