超人気インド料理店「チャミヤラキッチン」が根津で復活! インド人も絶賛する至極の“郷土カレー”とは?

超人気インド料理店「チャミヤラキッチン」が根津で復活! インド人も絶賛する至極の“郷土カレー”とは?
食楽web

インドの郷土料理の本物の味

今年6月30日、荒川区東尾久にあったインド料理店『チャミヤラキッチン』が、建物の老朽化を理由に閉店しました。その最後の日、名残を惜しんで多くの人が遠方から来店したほど、大がつくほどの人気店でした。そして、約3ヵ月を経て、9月27日、移転先の根津で、営業を再開したとの情報を得て、さっそく行ってきました。

 “本物”とは、「偽物ではない」「見せかけではない」という意味ですが、料理にこの言葉を使うのはそう簡単ではありません。例えば、美味しいからと言って「本物のカレーだ!」と叫んでも、非常に曖昧で伝わりにくいからです。

 しかし、今回、ご紹介するインドカレー店『チャミヤラキッチン』の「ダールカレー」は、あえて“本物”という言葉で、オススメしたくなるカレーなのです。

根津駅前に移転した『チャミヤラキッチン』。長屋風の建物の2階にあります
根津駅前に移転した『チャミヤラキッチン』。長屋風の建物の2階にあります

『チャミヤラキッチン』は、今年6月30日まで、荒川区東尾久、日暮里・舎人ライナーの「赤土小学校前」にありました。東京在住の人でも「それどこ??」と思いそうなマイナーな場所ですが、秋葉原のインディアンレストラン『アールティ』の姉妹店として、2013年7月にオープンして以来、この場所にわざわざ多くの人が来店する大人気店でした。

 その理由は、オーナーであり、インド・ガルワール地方チャミヤラ村出身のネギ・アヌさんのレシピで作られる、豆や野菜をふんだんに使った村の郷土料理をいただけるからです。これがベラボウに美味しいのです。

本日の「サブジ」780円
本日の「サブジ」780円

 例えばインドの野菜の炒め煮の「サブジ」。どこのインド料理店にもある一品ですが、『チャミヤラキッチン』のそれは、一味も二味も違います。日によって具材が変わりますが、この日のサブジは、小松菜とジャガイモ。葉の苦味&えぐみ、トマトの酸味、ホクホクのジャガイモの甘みが、スパイスと共に口の中で広がり、フォークが止まらないほど後を引くのです。

「ダヒプーリ」760円(6p)
「ダヒプーリ」760円(6p)

 また、『チャミヤラキッチン』の魅力は、インドの屋台スナックも豊富に揃っているところ。上の画像はインド人も大好きという「ダヒプーリ」。

 薄く揚げた衣の中に、潰した豆&ジャガイモを入れ、ヨーグルトやハーブやスパイスで味付けをしてあるんですが、これがとにかく絶品。口の中でパリッと消える衣。そのあとに、ホクッとした豆とジャガイモ、ヨーグルトやタマリンド、ハーブと異なった酸味と旨味が広がります。これが、めちゃくちゃ美味しいのに、口の中で儚く消えてなんとも名残惜しい。無性にお酒を飲みたくなる最高のつまみとは、こんな一瞬の味わいなのではないか、と深読みしたくなる美味しいのです。

左「チャミヤラチキンカレー」1180円、右「ミックスダールカレー」980円。ガルワール地方の調理法で作られています
左「チャミヤラチキンカレー」1180円、右「ミックスダールカレー」980円。ガルワール地方の調理法で作られています

 そして、常連さんのほとんどの人が注文するのがアヌさんの故郷、ガルワール地方でよく食べられている豆をミックスして作るカレー。

 ひよこ豆、レンズ豆などを使った豆のカレーは、数多のインド料理屋の定番でもあり、筆者も色々な店で食べてきましたが、ここのダールカレーは、これまでのダールカレーの味を軽々と抜いていく至高のレベル。

 ほっくり、うまい。豆だけのくせにうますぎる。食べているうちに、魔法の“だしの素”でも入っているのではなかろうかと訝るくらい旨味が深いのです(もちろん旨味ダシは使っていません)。

 アヌさんに作り方を聞いてみると、「玉ねぎを炒め、クミン、ターメリック、コリアンダーなどのスパイスで豆を煮込み、最後にホールスパイスとにんにくを入れて熱したオイルで仕上げるんですよ」と教えてくれました。

 簡単なように聞こえますが、日本の家庭で作る「肉じゃが」や「筑前煮」と同じように、作り手によってかなり優劣が出るのが「ダールカレー」なのかもしれません。

カレーには、全粒粉を焼き上げた家庭的なチャパティ(500円・2p)がよく合う
カレーには、全粒粉を焼き上げた家庭的なチャパティ(500円・2p)がよく合う

 日本でインド料理というと、カレー&ナンを食べておしまいという店が多いと思いますが、種類豊富な屋台スナックをつまみ、インドの家庭料理を堪能できる。そんなお店は東京でも数少ないと思います。

 というわけで、復活を遂げた『チャミヤラキッチン』に、ぜひ訪れて欲しいと思います。筆者は、全メニューを食べ尽くしたいくらいお気に入りで、まさに“本物”と表現したいお店なのです。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

チャミヤラキッチン 看板

店名:チャミヤラキッチン

住:東京都文京区根津2-19-4 2F
TEL: 03-3823-6585
営:11:30~15:00、17:00~22:00
休:無