素朴ながら滋味深い味に感激

『ムーサ蘭州牛肉拉麺』は東大の赤門近くにあります。
お店の人たちは中国語オンリー。オープンしてまだ半年も経っていないのに、昔からそこに店があったかのような、そして中国の田舎にいるような空気が漂っているんです。


今回は、友人と二人で行ったので、定番の「蘭州牛肉拉麺」(880円)と「干拌麺」(1,020円)の2つを食べてみることにしました。

まずは、「蘭州牛肉拉麺」。

透き通った牛骨スープは、臭みや雑味が一切なく、あっさりとしていながら旨みがきちんと抽出されています。そのスープをレンゲで口に運ぶたびに、漢方のような複雑なスパイスの味がして、ラー油の香り高さも格別。
手延べ麺のツルンと口当たり、噛むともっちりした食感が、この滋味深いスープとピタッと合っていて、素朴な見た目とは裏腹に、かなり高級な味がします。

続いて「干拌麺」。これは、今までに食べたことがない料理だったので衝撃的でした。
太くて丸い麺の上に、サイコロ状に切った玉ネギ、セロリ、ジャガイモ、そして羊肉がゴロゴロ載っていて、トマトの風味が効いた爽やかな味。
友人が「これ、スパゲッティのルーツじゃない?」と感想を口にしていましたが、確かに餃子がシルクロードを通ってイタリアでラビオリになったと言われているように、これがイタリアでパスタになったんじゃないか、なんて気もしてきます。
そして、こちらもスープが決め手なのでしょう。牛肉と野菜がしっかり煮込まれたスープに、打ち立て、茹でたてのツルツル麺が軽快に合います。


この料理について、ご主人に聞いてみると、ご出身の青海省で、そちらでよく食べる郷土料理なんだそう。
青海省は蘭州のある甘粛省よりもさらに西北部に位置し、新疆ウイグル自治区の隣。チベットの麓でもあります。調べてみると、ウイグル料理に「ラグマン」というのがあり、それがこちらの「干拌麺」。
どちらの麺料理もかなり美味しかったのですが、さらにメニューにあった「自家製ヨーグルト」(358円)も食べてみることにしました。

このヨーグルトが、すごかった! 自分のヨーグルト体験史上最も美味しいヨーグルトでした。超濃厚、甘みも程よく、コク深い。改めて、中国の食文化に感動しました。
半年前に日本に来たばかりというご主人は、手が空くと、テーブル席に座ってお客さんと話をし始めたりします。そんなゆる~い感じなのに、料理はカンペキ! ぜひ、皆さんも行ってみてください。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:ムーサ 蘭州牛肉拉麺
住:東京都文京区本郷5-23-13
TEL:080-6710-0509
営:11:00~23:00
休:無