シロコロ初体験。その味は?
平日の17時に『千代乃』を予約し、入店早々、「シロコロ」があるかを確認します。噂によると、店によっては夕方16時前には売り切れてしまう場合もあるそう。
「シロコロ」確保にホッとし、そのほかに何か食べようかと、お店の方にオススメを聞くと、奥の方からご主人が「辛シロ、豚カルビ、とん漬け」と早口で教えてくれました。さらに、「うちの自家製ニンニク味噌だれは、B-1グランプリで優勝したやつだからね~」とも。
その味噌だれは卓上に無造作に置かれていたので、味見をすると、これだけで永遠にお酒が飲めそうなほど濃厚な旨味。

いよいよシロコロが登場しました。薄くピンクかかった乳白色で、ツヤツヤしていて、う~ん、キレイ!
「生後6ヶ月以内の豚のものしか使わず、解体したその日のうちに届くから鮮度が抜群なんですよ」とお店の方。
一般的なホルモン焼の「シロ(大腸)」の場合、衛生上、大腸を周囲の皮を割いて、下ゆでしてから使いますが、「厚木シロコロホルモン」の場合、下ゆでする必要もなく、割かずに管状のまま提供できるほど新鮮なんです。

お店の方が“初体験”の私たちにシロコロの焼き方を教えてくれました。
「表3秒裏3秒焼いて1セット。これをだいたい8セット繰り返してね」
まるで筋トレみたいだ…と思いながら、カウントしながらやってみます。すると、そのぎこちない焼き方を見かねたのか、お店のおじさんが現れ「やりましょう」とトングを強奪。バトンタッチして焼いてもらうことに。
「脂が肉の表面にじんわりと出てくるので、そのまま放っていると脂が炭火に落ちて火が上がって焦げちゃうんだよ」と言いながら、8セットどころかクルクル、クルクルと。シロコロの状態を見ながら、ひっくり返し続けます。
先ほどまではやる気なくベタ~ッと網の上で寝そべっていたシロは、次第に目が覚めたように起き上がり、コロコロと筒状になっていきます。なんとも可愛いシロコロ。


焼きあがった熱々のシロコロを口に入れてみると、周りの皮はプリッとしていて、噛みしめるとじゅわ~っと脂が広がります。
先述したように、「これが脂?」と思うほど、臭みも濁りもなく、澄んだ味とでも言いましょうか。口中にこびりつくような感じは微塵もなくスーッと広がっていくんです。その甘み、旨味たるや。シロコロは自家製ニンニク味噌だれにつけて食べるのがオススメだそう。この相性、もはや怖いくらいに抜群です。
言葉を失っていると、「脂が違うでしょ。僕らも仕事柄、ホルモン焼を食べに行くことあるけど、脂が全然違う。ぜひ豚カルビも食べてみてください」とお店のおじさん。

「豚カルビ」はまるでミルフィーユのように脂と赤身が層になっていて、こちらも見るからに新鮮な色。またまた“焼き”をお店の方にお願いしちゃいます。

炭火の上で豚カルビの脂がじわじわっと浮き上がってきます。その脂の香りが実に上品。
いただいてみると、「これまで食べてきた豚カルビは一体なんだったんだ!」と大袈裟に叫び出したくなるほど清らかな脂です。シロコロよりも脂が多い分、その脂の旨味を強く感じます。そして、こちらは醤油ダレでいただくと、脂の旨味がさらに倍増するんです。
シロコロと豚カルビの脂に惚れ惚れし、「もっとください」とガンガンおかわり。ちなみに、他にオーダーした辛シロ、トン漬け、ハツ、レバー、どれも文句なしに美味しかったです。
「厚木シロコロホルモン」を食べたことがない人は、絶対、食べたほうがいいですよ。脂がこんなに美味しいなんて人生で初めて体験しました。
ちなみに、筆者はたらふく食べましたが、胃もたれなし、太った自覚もなし。「シロコロの脂はカロリーゼロ」は、もしかしたら、本当かもしれません。
(取材・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:千代乃
住:神奈川県厚木市旭町1-23-1 永野ビル1F
TEL:046-227-4629
営:17:00~21:30LO
休:日