
本場の四川料理を食べ歩き、独自の視点でその魅力を紹介する麻辣連盟総裁・中川正道さん。彼が「口から火を噴く旨辛!」とオススメする日本の四川料理店をご紹介します。今回は火鍋トップ3!
遠方から伝統の「九官格鍋」目当てに集まる
名古屋の『蜀漢(ショクカン)』
今、日本で一番現地の火鍋を楽しめるのが名古屋にある『四川伝統火鍋 蜀漢』です。こちらの「九宮格鍋」(580円/人)は、伝統的な重慶火鍋の鍋である九個に分かれている格子を使った火鍋で、おすすめは赤いスープのみの紅湯(ホンタン)。秘制麻辣牛肉は激辛の中にも旨味があり病みつきに。
当連盟(麻辣連盟)会員も、続々とこの火鍋を食べにわざわざ名古屋に通っています。

美味しさの秘密はスープの旨さ。火鍋スープ通称「鍋底(グオディー)」は四川省成都市で生産、直輸入。「牛脂」を使っている場合、検査に引っかかり直輸入できないのですが、何度も改良を重ねて検査を行い奇跡的に合格したのだそうです。

香辛料は四川特産の山椒である3種類の花椒を使い、唐辛子など25種類以上の中国スパイスや調味料を使用。そこに定番のラム肉はもちろん、蜀漢では「特製牛肉」をしゃぶしゃぶするのがオススメです。
オーナーは中国人で、奥さんは成都人。濃くて辛さが半端ない重慶火鍋ではなく、少しマイルドな成都火鍋をベースにしているのも人気の秘密。
また内装は中国の火鍋屋をそのまま持ってきたかのような雰囲気。聞けば、すべてのインテリアを中国で特注して作っているそうです。

●SHOP INFO
店名:四川伝統火鍋 蜀漢
住:愛知県名古屋市中区栄5-8-6 1F
TEL:050-3460-8121
営:17:30~翌2:00(翌1:30LO)
休:なし
https://r.gnavi.co.jp/82achdgz0000/menu1/
・・・・・・・
在日中国人の間で爆発的人気!
池袋と新宿なら『海底撈火鍋』

質の高いサービスと現地の味を再現した火鍋が在日中国人に大人気の『海底撈火鍋』。日本では、現在、池袋と新宿、海浜幕張、心斎橋にあります。
じつは本店は、四川省簡陽市という田舎の街にあり、四川料理の聖地である成都市ではあまり有名ではないんです。でも、その激戦区・四川を避けて、北京、上海など大都市で人気を博し、日本へは2015年に進出(池袋店)。今年2018年には、香港証券取引所に上場も果たし、経営的に大成功している火鍋屋さんなんです。

しかも『小肥羊』などの東北火鍋とは一線を画し、日本在住の中国人に瞬く間に人気になりました。その秘密は、やはりスープ。
種類は、麻辣鍋(大2,400円)、中華トマト(大2,200円)、白湯鍋(大1,800円)など数種類あり、一色、二色、四色など種類を選ぶことができます。
どのスープもあっさり目でクセがなく、非常に食べやすいのが特徴。肉やホルモン、野菜なども比較的リーズナブルで、たっぷり食べることができます。
また「カンフー麺」(390円)は、“変面役者”が踊りながら麺を延ばすサービス付き。忘年会、新年会などで確実に盛り上がるはず。
●SHOP INFO
店名:海底撈火鍋 池袋店
住:東京都豊島区南池袋1-21-2
TEL:03-5956-9666
営:11:00~翌5:00
休:無休
新宿店の詳細は https://haidilao.owst.jp/
・・・・・・・
“飲める火鍋”専門店!
『ファイヤーホール4000』

JR五反田駅から徒歩5分ほどの場所にある『ファイヤーホール4000』。こちらは、料理の鉄人、陳建一さんの右腕として『四川飯店』を率いた日本を代表する四川料理人の菰田(こもだ)欣也シェフが独立して作った、日本人のための“飲める火鍋”専門店。
こちらの「火鍋」のスープは牛脂がこってりとして、しゃぶしゃぶしたり、煮込んで食べるスタイル。ポイントは、スープまで飲めるということ。菰田シェフ曰く「日本の汁好き文化に合うように、脂分や塩分、辛味を日本人好みに抑え、数十種の漢方をベースにして旨みを追及したスープ」とのこと。

さらに、自家製豆板醤を使っているのも大きな特徴。豆板醤と豆鼓、花椒、香辛料を合わせ、油で熱して香りを引き出します。そこへ白湯スープ、豚の背脂、生姜を入れて炊き上げ、これを1日寝かせて、味に角が取れて丸みが出たものを使うそうです。
また、鮮度抜群の具材も秀逸です。特に群馬県太田市から仕入れているという「加藤ポーク」は、餌からこだわり、脂の旨みが素晴らしいんです。とくにそのモツは延々と食べられるぐらい美味。菰田シェフの渾身のスープとこだわりの肉を試していただきたいです。

●SHOP INFO
店名:ファイヤーホール4000
住:東京都品川区東五反田1-25-19 東建島津山南ハイツ 107
TEL:03-6450-3384
営:11:30~14:45(14:15LO)
17:30~22:45(21:30LO)
休:月
https://www.firewhole.jp/
●プロフィール
中川正道
1978年生まれ・島根県出身、四川省公認の四川料理の専門家、麻辣連盟総裁、「四川フェス」(毎年4月に開催)主催。主な著作に「涙を流し口から火をふく、四川料理の旅(書肆侃侃房)」などがある