
今回、ご紹介するのは、以前よりJR池袋駅の路地裏にあって気になっていたお店『大衆焼肉コグマヤ』。
「ジンギスカン250円」という表記が店頭にあるのをよく見かけていました。羊肉は世界的には“ごちそう肉”として扱われており、高級品です。だから「羊肉がそんな安いわけないだろ!」と、内心、やや反感を覚えつつ、でも好奇心が抑えきれず、機会を見てお店に行ってきました。その結果……いい意味で裏切られたお店でしたので、ご紹介します。
メニューはもちろん羊肉がメイン。
・名物ジンギスカン 250円
・こってりジンギスカン 250円
・ピリ辛ジンギスカン 280円
この3種類。お肉はその時によってオーストラリアやNZ産を使い分け、価格を抑える工夫をしているのだとか。お手並み拝見、というわけで3種類を全部注文してみました。

どれも、量がちょうどいいサイズ。そして、おいしい。安い価格帯の羊のお店にありがちな、例の羊臭も全然ない。お店の名前が大衆焼肉とつくので、おそらく低価格帯のお肉を使っていると思うのですが、きちんとした下処理で、ここまで仕上げられるのか…と、嬉しくなりました。個人的には、唐辛子が効いたピリ辛が好み。
食べ方がまた変わっています。皿(ステンレスの銀皿。これがまたいい)にキャベツとタレを入れ、好みでにんにくと唐辛子を加えてヘラで刻みます。これがタレ。そこに、焼いた羊をつけて食べるのですが、この食べ方がまた羊に合う!


ちなみに、ジンギスカンと表記されていますが、専用の鉄板を使うのではなく、焼き肉系ジンギスカンです。この、焼き肉とジンギスカンの違いについて、最近では店を巡るたびに「羊を焼く料理法=すべてジンギスカン」なのでは? という気がしてきました。最近、ジンギスカンの定義をいろいろと考えているので、まとまったら別の機会に書かせていただきます。
氷の代わりに凍らせたレモンがいっぱい入ったの究極ハイボールに中身を3回足してもらい、羊以外も色々食べて二人で5,500円。羊以外の肉も、ホルモンや馬肉など、魅力的で肩肘張らないものばかり。2次会的に肉を少し追加で食べたいときなども使い勝手がいいお店です。庶民派ジンギスカンの実力、確かに経験させていただきました。

羊齧協会のひとくち羊メモ
羊の香りについて
「昔の羊は風味と香りが強くてよかった。今の羊はそれがない」とおっしゃる方がたまにいます。おそらく、青春の思い出フィルターが働いて“懐かしの香り”になっているのだと思いますが、例の羊独特の香りは実は「脂肪が劣化した時に強く出る香り」。だから、「脂肪の劣化した羊のほうが好き」と、公表しているようなものなので、あまり言わないほうがいいのに…と昔から思っていましたが、意外にそういう人は多くいて、なかなか面と向かって言えずにいました。しかし、最近羊に対するさまざまな誤解が公然とネット上でシェアされているので、この機会に書かせていただきます。
(撮影◎菊池一弘)
●SHOP INFO

店名:大衆焼肉コグマヤ
住:東京都豊島区西池袋1-20-2
TEL:03-6709-2577
営:17:00~23:45(LO 23:20)
休:なし(年末年始除く)
●プロフィール
菊池一弘
羊齧協会主席。羊肉を常食する岩手県遠野市出身の父の影響で、羊肉料理に親しんで育つ。北京留学中に現地の味に触れ、その魅力に開眼し羊好きの消費者団体「羊齧協会」を結成。本業は、イベントの開催・運営、場作りのプロとしてのアドバイザー業務などに携わっている。最近は四川フェスの運営団体麻辣連盟の幹事長も兼務。
http://hitujikajiri.com/