羊齧協会主席として日本で羊に関する活動を行っていると「ジンギスカンはどこのお店が美味しいですか?」と頻繁に聞かれます。ジンギスカンは羊肉料理の一つに過ぎないと思うのですが、日本ではいまだに羊=ジンギスカンのイメージが根強いんだな、と実感します。
そもそもジンギスカンは中国の「カオ羊肉」(カオヤンロウ/カオは火へんに考/以下同じ)に由来するといわれています。このジンギスカンのルーツとなる料理の専門店が、先日、とうとう日本に上陸したのです。最近では、多種多様な中国の地方に特化した料理が東京でも食べられるようになりましたが、この料理がまさか上陸するとは思ってもみませんでした。お店の名前は「北京胡同焼肉」。場所は東京の新宿5丁目です。
鋳鉄の鍋の上で、パクチーや玉ねぎなどの野菜と一緒にタレに漬けた羊肉のスライスを炭火で焼いて食べます。味付けジンギスカンに似ていると思いませんか? 中国の路地裏で、おじさんたちがビールや焼酎を飲みながら鍋を囲んでいるイメージも、なんとなくアウトドアなイメージのジンギスカンとかぶります。以前、北京に住んでいた筆者にとってもこの料理は懐かしい味です。ちなみに北京ではモンゴル風焼肉と呼ばれていたので、やはりジンギスカンのルーツなのかなと思ってしまいますよね。
こちらのお店、食べ放題(2,980円)が基本。もも肉からハツ、マメなどの内臓系まで楽しめるほか、エビやイカなどの海鮮や豚や牛の肉もあります。プラス1,000円で飲み放題になるので、コスパ抜群。価格も北京の裏路地そのままです。
焼き方は店員さんが優しく教えてくれるので、ここでは細かいことは言いませんが、ポイントは「鉄板にあふれる肉の脂を野菜に吸わせる」こと。こちら、ジンギスカンと同じで、野菜をただ焼くのではなく、鉄板の周りに並べて、羊肉から出てくる脂を吸わせてから食べるのがオススメ。特にナスやジャガイモなど、脂吸いの良いものは絶品。ぜひ試してみてください。
テーブルには、クミンパウダーと唐辛子の粉が置いてあります。ジンギスカンと違い、焼いた肉をつけるタレはないので、この2つで味に変化を加えつつ楽しみます。
北京では、カオ羊肉にはごま焼きパン(200円)が欠かせません。ごまの風味が香ばしく、そのまま食べても美味しいですが、半分に割って焼いた羊肉をハンバーガーのように挟んで食べるんです。
最後に忘れてはならないのがこの焼きそば。ジンギスカンには〆の炭水化物が欠かせません! 羊の脂が残る鉄板で、やや太めのひねりが入った平打ち風の麺で作る焼きそばはやみつきの味。お腹いっぱいでもぜひお試しあれ。
また、別途注文となりますが、ぜひ味わって欲しいのが羊足(1,000円)の中国風の煮物。羊の蹄を柔らかく煮たもので、日本ではまずお目にかかれない北京の味です。
店員さんが焼き方をはじめいろいろと優しく教えてくれるので、会話しながら色々と食べてみることをおすすめします! 一品の量が多いので、4名以上で行くのがベストです。
羊齧協会のひとくち羊メモ
合わせたいお酒は断然「二鍋頭」
北京の地酒「二鍋鍋」という白酒がオススメ。こちら、北京の裏路地でおじさんたちが宴会するときに必ず飲んでいる度数56度の蒸留酒です。小さなグラスで、ぐいっとウオトカのように飲み、独特の香りが味の濃い北京の料理には合います。※写真は「二頭鍋」を別の店舗で撮影したもの。
(撮影◎菊池一弘 廣瀬達也 中国酒家 風雅)
●SHOP INFO
店名:北京胡同焼肉
住:東京都新宿区新宿5丁目17-11 白鳳ビル3階
TEL:03-6875-1708
営:11:30~14:30、17:00~23:00
土・日・祝11:30~14:30、17:00~23:00
休:なし
●プロフィール
菊池一弘
羊齧協会主席。羊肉を常食する岩手県遠野市出身の父の影響で、羊肉料理に親しんで育つ。北京留学中に現地の味に触れ、その魅力に開眼し羊好きの消費者団体「羊齧協会」を結成。本業は、イベントの開催・運営、場作りのプロとしてのアドバイザー業務などに携わっている。最近は四川フェスの運営団体麻辣連盟の幹事長も兼務。
http://hitujikajiri.com/