1頭から3人分しか取れない希少部位! 人形町『かつ竹』の「極上ロースかつ定食」の魅力とは?

1頭から3人分しか取れない希少部位! 人形町『かつ竹』の「極上ロースかつ定食」が旨すぎる!
食楽web

「限定」や「希少」という言葉を飲食店で見つけると、どうしても頼まずにはいられなくなってしまう性格です。

 そんな筆者の性格をよく知っている友人から、「豚一頭から1~3人前分しか取れない希少部位を使ったとんかつを食べられる店がオープンした」と連絡がありました。それがまた、かなり評判だというのです。そんなこと聞いてしまったら、行くしかないですよね。というわけで取材に伺いました。

 目的地は、2017年9月にオープンした『とんかつ かつ竹』(人形町)。都内ではめずらしい「SPF霧島純粋豚」というブランド豚を使用しています。

 メニューは「ロースかつ定食(130g)」(1,300円)、「ヒレかつ定食(180g)」(1,800円)のほか、ランチ限定の「ランチロースかつ定食」(1,000)もあります。平日の昼時は、あっという間にサラリーマンで席が埋まり、店頭では持ち帰り用の弁当も好評のようです。

 筆者がオーダーしたのは、肩ロースから肩口にかけたごくわずかな希少部位を使っているという「極上ロースかつ定食(250g)」(2,500円)です。注文後にもお客さんがどんどん押し寄せていました。その盛況ぶりに、期待も高まってきます。

 そして、どーんと「極上ロースかつ定食」が登場。

 中心部は、完全に火が通りきる一歩手前、淡いピンク色が見事です。

 なんと箸で持ち上げただけで、脂身がプルプルと震えます。“とんかつが震える”という未体験の柔らかさにビックリ。

 口にすると、適度にゼラチン質の歯ざわりがあり、噛みしめるとジューッと甘みが広がります。身はさっぱりしつつも、コクのあるうまみで、脂とのバランスも秀逸。衣はザクザクとした食感ですが、柔らかい肉と一緒にほろっと解ける絶妙な具合です。塩で食べるのがお店のオススメだそうですが、最初のひと切れは何もつけなくてもいいと思いました。それくらい肉自体のおいしさが際立っています。

 汁物は肉団子スープ。カツオと豚ガラのダブルだしは、驚くほど香り豊かで、上品な味わいです。成形時に出た切り落としをミンチにしているそうなのですが、これほんとに豚肉なの!? と驚くほど雑味やしつこさがなく、食感もふっくらとしています。肉そのものの質の良さもあるのでしょうが、職人の丁寧な仕事に感服です。

粉雪のような沖縄県産「ぬちまーす」など、4種類の塩で繊細な変化を楽しめます
粉雪のような沖縄県産「ぬちまーす」など、4種類の塩で繊細な変化を楽しめます

 ひと口、またひと口と運ぶごとに虜になっていくような魅惑的なうまさ。頭の中は、とんかつのことでいっぱい。お腹もいっぱいで、もう最高です…!

 しばらく食後の余韻に浸りたいところですが、このおいしさの秘密を覗かせていただこうと、料理長の若松さんにお話を伺いました。

料理長こだわりのSPF霧島純粋豚
料理長こだわりのSPF霧島純粋豚

 若松料理長は、老舗とんかつ専門店「井泉」(上野)などで経験を積んだ、その道18年の職人。「うちのこだわりは、なんといっても肉」と言い切る潔さが男前です。

「SPF霧島純粋豚を一本買いして、店で成形をしています。衣付け、揚げ油、提供のタイミング、サイドメニューにいたるまでこだわるのは、すべてこの肉のため」(若松料理長・以下同)

 それほど若松料理長が惚れ込んだ「SPF霧島純粋豚」。宮崎県と鹿児島県にまたがる霧島高原の広大な自然環境の中で、徹底した衛生管理野の下、抗生物質を一切使わずに専用肥料で飼育されている健康優良豚です。ちなみにSPFというのは、徹底した衛生管理のもとで育てられ、特定の病原体を保有していない豚にだけ与えられる称号だそうです。

 この肉にふさわしいパン粉は、耳を取り除いた粗めのソフトタイプ。「粗いパン粉を使うのは、とんかつ屋のこだわり。揚げた時に衣がザクッと立ち上がるのがいい」

上面にパン粉を振りかけ、側面からやさしく包み込むように付けます
上面にパン粉を振りかけ、側面からやさしく包み込むように付けます

 揚げ油はラードと植物油を50%の割合で合わせているそう。コクが出るよう、若干ラードを多めにしているのがポイントだそうです。肉のおいしさを損なわないよう、さっぱり、ジューシーな揚げ上がりを目指し、175~180度の間で、8分間しっかりと揚げます。

 蒸らしは、スタッフがテーブルに運び、客が小皿に塩を準備する時間も考慮し、ベストなタイミングでひと口目が入るように逆算しているそうです。う~ん、これぞ職人のこだわり、という凄みを感じます。

 帰り際、「うち、ヒレかつもおすすめなんだよね」と後ろ髪をぐいっと引かれる一言。『とんかつ かつ竹』、再訪決定です。

(取材・文◎亀井亜衣子)

●SHOP INFO

とんかつ かつ竹

店名:とんかつ かつ竹

住:東京都中央区日本橋人形町2-3-4 第三ロータリービル1階
TEL:03-5652-7329
営:平日11:00~15:30、17:00~21:30(21:00 L.O.)
  土日祝10:00~20:00(19:30 L.O.)
休:月