
わらじ並に巨大なメンチカツ
古くから地域に根付いた街の洋食屋さん。長年、地元の人に愛され続けるのには「味」「価格」「主人の人柄」などの理由がしっかりあるものです。今回お邪魔した東京・大井町にある1949年創業の『ブルドック』は、それら3要素のほかに“ボリューム”という4つ目の要素が加わった名店です。

名物の「メンチカツ」(770円)と「オムライス」(900円)をいただくことにしました。いずれもジャンボサイズでボリューミーとの噂。期待しながらカウンター越しに調理場をのぞいてみると、シェフが大きな鍋つかみを手にはめているようです。……いや、鍋つかみかと思いきや、パン粉をまぶした揚げる前のメンチカツでした。でかい! 大人の片手がすっかり隠れてしまう大きさです!

そうして待つこと10分。大迫力のメンチカツが登場。山盛りの千切りキャベツの上にドンとのっています。普通のメンチカツの4倍ほどはありそうです。巷で“わらじメンチカツ”と言われるのもわかります。
早速、いただきます! カリッカリの衣にソースがよくしみ込んでいます。肉は濃いめの味付けでジューシーな食感。肉汁もたっぷりと出てきます。「キャベツと一緒に食べると美味しいよ」とご主人。千切りキャベツを巻いて食べてみると確かにぴったりです。キャベツのシャキッ! 次にカツの衣のカリッ! そして肉のジュワッ! 3段階の食感を楽しめる、文句なしの旨さです。

一方、メンチと同時に出てきたオムライスもかなりのボリューム感。ケチャップで何やら文字が書かれています。「E=mc2」というアインシュタインの相対性理論の公式。ここに書かれる文字はお客さんによって変わるようです。
卵はふんわり系でやや甘め。スプーンを入れると、卵の半熟部分がトロリとこぼれてチキンライスと一緒になります。ケチャップの酸味に卵のマイルドさが加わり、これがまた美味しいこと……。大きめの鶏肉がゴロゴロ入っているのも嬉しくなります。
取材時、ご主人がマジックを披露してくれました。食べるのも忘れて見入ってしまったほどの腕前です。このお店は「味」「価格」「主人の人柄」「ボリューム」に加え、「ご主人のマジック」も人気の秘密なのでした。
(取材・文◎松本壮平)
●SHOP INFO

店名:ブルドック
住:東京都品川区東大井5-4-13
TEL:03-3471-6709
営:11:40~21:00
休:水・第3木