串に刺したうなぎをバタバタ折り曲げて焼く

関東のうなぎは一度蒸してから焼くのが主流ですが、関西の地焼きは腹開きにしたうなぎを生のまま火入れ、時折、水を差しながら味を凝縮させるように焼き上げます。
さらに『北白川』では、バタバタとうなぎを折り曲げながら焼きます。こんなに豪快に折って大丈夫かと初見では心配になりましたが、徐々に皮目はパリッとまんべんなく焼かれ、身は盛り上がるようにふかふかの焼き上がりに。職人の技に思わず唸りました。

タレは醤油の香りがきいていて、甘みの抑えた関東風。キャラメリゼされたようにこっくりとしていて、噛むほどに旨味が溢れます。
バタバタ折り曲げて焼くと、皮の間のゼラチン質に傷がつき、ぬるっとした食感が消え、小骨も焼き切るように火を入れるので、非常に食べやすい口当たりです。
お重より好きになるかも……福岡・柳川の「せいろ蒸し」

そして福岡・柳川の郷土料理、鰻の「せいろ蒸し」が食べられるのも魅力の一つ。九州でうなぎと言うと、「せいろ蒸し」を差すほどに浸透している食べ方です。
『北白川』では、芯が残らないギリギリの硬さで米を炊き、タレで味付けをしてから、うなぎと錦糸卵と一緒にせいろで蒸し上げます。
蓋を開けると、まるで玉手箱のように湯気が立ち上がり、ツヤツヤのうなぎがお目見え。一緒に蒸すことでうなぎとご飯の一体感が出て、お重と比べて食べやすさが増していますので、うなぎを初めて食べるインバウンダーにも薦めやすい一品です。
さて、メニュー名と価格を見て、お気付きの方もいらっしゃったことでしょう。そうなのです、松竹梅が逆になっているのです。うなぎ専門店ならではだそうで、「注文するときや誰かにごちそうするときに格好がつく」というお店の粋な計らいです。
![特別な日は個室やVIPルームへ(※取材時点では室料無しで予約可能) [食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2024/04/20240419-kitashirakawa06.jpg)
ディナータイムや週末の永田町は、いつもよりゆったりとした雰囲気でうなぎを楽しめそうですね。都内で味わえる珍しいうなぎの店として、ぜひ覚えておきましょう。
(撮影・文◎亀井亜衣子)