地元民に愛される洋食レストランが作った「塩やきそば」

北見駅から路線バスで揺られて15分。さらに10分ほど歩いた場所に『カジュアルレストラン マルシェ』はありました。
ランチタイムを外した遅めの時間に訪れたのですが、その賑わいっぷりにまずビックリ。駐車場は北見市ナンバーのクルマで満車。地元民に愛される店にハズレなし! ワクワクしますね。

レストランのオーナー・沢崎正弘さんに、ズバリ「オホーツク北見塩やきそば」について訊いてみました。
「味つけは塩、具材はオホーツク産のホタテ・北見たまねぎが基本。アツアツの鉄板の上に焼きそばを盛りつけた状態で運び、ホタテの旨味を凝縮した魔法のタレを鉄板にかけて食べるのが特徴です」(沢崎さん・以下同)
オホーツクでよく獲れる肉厚なホタテを主役に、生産量日本一という甘味の強い北見たまねぎがそれをサポートする。そんな塩やきそばなんですね。

この「オホーツク北見塩やきそば」の開発のきっかけは、町おこし。B-1グランプリがスタートした2006年とほぼ同時期にプロジェクトが発足し、2007年にメニューが完成。B-1グランプリに出場してテレビ番組にも取り上げられたこともあったそうです。
「今もこれを目当てに遠方から訪れるお客さんもいらっしゃいますし、地元の人の注文もかなり多いんですよ」と沢崎さん。
味のポイントはオホーツク産のホタテ!

現在、「オホーツク北見塩やきそば」は市内の9店舗が提供しており、各店舗がそれぞれ個性豊かにアレンジして出しているそうです。では『マルシェ』さんの「オホーツク北見塩やきそば」の推しポイントは? と訊いたところ、沢崎さんは「厳寒のオホーツク海で育った身の締まったホタテ」と即答。
「一般的なホタテの場合、ヒモなどを取り除き、貝柱だけを食べさせる店も多いですが、北見のホタテはすべてが美味しいので、あえて取り除かずに全部お出ししているんです。これと北見たまねぎはマスト。これらに加え、ウチでは半熟たまごやクリームコロッケなどもトッピングしています」とのこと。
待つこと10分ほど。アツアツの鉄板焼きそばが運ばれてきました。ジュージューと麺が焼ける音が耳に心地いい。具材はホタテ、輪切りのたまねぎ、たまねぎのクリームコロッケ、温泉たまご、キクラゲ。迫力十分です。
しかし、これは実は第1形態。店主が“魔法のタレ”をかけると、恐るべき破壊力を持つ第2形態へと進化するのです。

透明な液体が鉄板に注がれると、温泉の湯畑のような湯気がぶわっとテーブルを包み込み、一気にホタテの香りがあたりに充満しました。この魔法のタレ、ホタテを中心とした魚介ダシだそうです。とにかく濃厚なホタテの香りと蒸気がスゴい! この光景を見られただけでも、ここに来た甲斐があったと思いました。

まずは麺をズズズッとすすり上げます。モッチモチです。魚介のダシと麺の小麦感が融合し、実に旨いです。

メインディッシュのホタテは期待を裏切らない美味しさ。噛むたびにパワーあふれるホタテの旨味が奔流のように口中に押し寄せてきます。あぁ、このままずっと食べていたい……と思わされる至極の味わいでした。
また、もう一つの主役、北見たまねぎもホタテと遜色ない旨さです。シャキッとした食感の後に押し寄せる甘味と旨味。さすが、生産量日本一は伊達じゃありませんね。
まとめ

焼きそばというと“ケ”(日常)の食べもののイメージを抱きがちですが、この「オホーツク北見塩やきそば」は“ハレ”(非日常)の雰囲気が濃厚。素材の旨さをじっくり時間をかけて味わえる塩焼きそばでした。
北海道で北見市を訪れたら、ぜひ食べてみてください。レベルの高さに驚くと思いますよ。