スパイスの威力がハンパない!!高円寺『青藍』の“香りを食べるカレー”の超絶テクニック

スパイスの威力がハンパない!!高円寺『青藍』の“香りを食べるカレー”の超絶テクニック
食楽web

早くも2018年の最優秀カレー登場か?

 東京の中央線沿いといえば、質の高いカレー屋さんが多いことで有名だが、高円寺に、“超”がつくほどハイクオリティなカレー専門店が登場。たった一口食べただけで、そのスパイスの半端ない威力を体いっぱいに浴びて、思わず「すごい!」と口走ったほど。スパイシーとはいえ、辛くはない。そのスパイス使いがとんでもなく秀逸なのだ。そんな注目のカレー店『青藍』について早速ご紹介していこう。

 場所はJR高円寺駅北口から徒歩5分ほどの商店街の端っこ。ごく普通に見かける町の洋食屋さんのような佇まいで、看板も“紙製“。なんともそっけなく見えるが、よく見てほしい。入口に左に貼ってある紙に「香りを食べる」と書いてある。『青藍』のコンセプトはまさにコレなのだ。

 店主の梶田さんがひとりで切り盛りしていて、注文はこれまた簡素な食券スタイル。

 メニューは大きく分けて3つ。「スパイシーチキンカレー定食」(900円)、「チキンカレー」(750円)、「ポークジンジャーキーマ」(800円)だ。「チキンカレー」は「スパイシーチキンカレー」よりスパイスの刺激が弱くマイルドなカレー。「ポークジンジャーキーマ」は、豚挽肉を生姜とスパイスで甘辛く仕上げた和風キーマカリーである。なお、「スパイシーチキンカレー」と「ポークジンジャーキーマ」をあいがけにする「カレー定食2種盛」(1,100円)もある。

 しかし、ここで迷うことなかれ。初めてならば「スパイシーチキンカレー定食」をぜひ食べていただきたい。なぜなら、表に書いてある「香りを食べる」というのは、まさにこのカレーのことだからだ。ちなみに、お客さんの9割がこれを注文するという。

 食券を渡すと、梶田さんがフライパンで何かを炒め始めた。そこに、別の寸胴の中で煮込まれているカレーを加え、さっと炒め合わせる。そして、ターメリックライスを盛ったお皿にカレーをかけ、さらに、野菜のおかずを数種類サイドに盛り付けて“定食”が完成。

 ちなみにこの日のおかずたちは「アンチョビキャベツ黒胡椒」、「キャロットクルミクミンラぺ」、「白菜の柚子と切り昆布マリネ」、「生パクチー」と盛りだくさん。

「スパイシーチキンカレー定食」900円
「スパイシーチキンカレー定食」900円

 着皿してからも、しばらくふわ~っと湯気が立ち上り続け、カレーはアツアツ。ひと口頬張ると、複数のスパイスが踊るようにくるくると香り立ち、その瞬間に目が丸くなること請け合い。そして「こんなカレーは初めて!」とうれしくなってしまうはずだ。実際、筆者はそうなった。

 そんな筆者の様子を見て、店主の梶田さんが「香りを立てるために、炒めたホールスパイスを最後にカレーに合わせているんですよ」と教えてくれた。さっき、フライパンで炒めていたのはホールスパイスだったのだ。聞いてみると、カルダモン、クミン、花椒(四川の山椒)、コリアンダー、ブラックペッパー、フェンネル、クローブなどで、研究を重ねた配合比率なのだという。

 カレーを作る際に、最初にホールスパイスを油で炒めてベースを作っていくが、その工程を「テンパリング」と呼ぶそう。梶田さんの場合はベースのカレー作りの際だけでなく、仕上げにもこのテンパリングを行って、最後にカレーに加えて仕上げているのだ。たったこれだけのことのように思うが、香りが際立ち、まさに香りを食べている気分になる。

 ちなみに、20年来カレー好きだった梶田さんは大阪や東京のいろいろなカレー屋さんを食べ歩いているそうだが、この「アフター・テンパリング方式」をやっているところはあまり見たことがないそうだ。