大分県中津市にあるもり山の総本山に潜入し、名物「塩からあげ」を堪能!

ピークタイムを避けたつもりで『もり山 万田本店』を訪問した筆者。しかしお客さんがいっぱいで、途切れる気配がまったくありません。そう、そもそもオフピークがないお店なのです。中津市内はもちろん、遠方からも車で買い求めに来るお客さんが多数。
みなさん、1kg、2kgといった単位で購入していきます。キロ単位でからあげを購入するのも中津のスタイル。“人が集まるならからあげは必須”とも言われる土地柄なので、大量買いが基本です。
メニューは「骨なしのモモ肉」、「ムネ肉」、「手羽先」、「軟骨」、「砂ずり」、「鶏皮」などかなり多彩。鶏肉の多種多様な部位が楽しめるのも、中津からあげのいいところですね。どれもこれも魅力的ですが、今回はモモ肉とムネ肉の塩からあげが同時に味わえる「骨なしミックス」(100g・250円)を注文することに。
オーダーすると番号札を渡されます。店内に飾られたからあげグランプリのグランドチャンピオンのトロフィーや賞状などを眺めつつ、待つこと5~6分。

番号がコールされ、揚げたてアツアツのからあげとご対面です。口の開いた袋で提供されますが、これは適度に蒸気を逃がし、衣がふやけないようにするための中津流の配慮です。

もり山のからあげの特徴は、味付けに天然塩や自家栽培のニンニク、ショウガなどを使っていること。鶏肉も生肉を使用するため、ジューシーで肉本来の美味しさがグーンと広がる、まさに王道の塩からあげです。

さっそくムネ肉からいただきます。極限まで薄くされた衣に歯を軽く当てただけで、肉汁がピュッと吹き出します。思わず「熱ッ!」と叫びそうに。ムネ肉とは思えないほどの肉汁の量。ヤケド注意のムネ肉からあげです。同時に口の中で肉の旨みが一気に拡散します。

醤油を使わない塩ダレのからあげはあっさりしているのですが、とにかく旨みがスゴい! しかもなんとなく上品! ほとんど噛んでいないうちから旨みが広がる、魔法のような美味しさ。肉質も実にやわらかく、「いま食べたの、モモ肉だったっけ?」と勘違いしてしまう人もいるかもしれません。
ムネ肉がここまでジューシーで美味だと、モモ肉への期待もMAXに。そしてその期待以上の味です。“ムネ肉からあげの美味しいお店はモモ肉も例外なくウマい”というのが筆者の自論ですが、改めてそれを確信。抜群の美味しさです。
まとめ

こちらのからあげを食べるときは勢いよくガブリといかず、ゆっくりじわっと歯を入れていくのがおすすめ。こうすることで、肉汁でヤケドする心配もなく、薄衣の爽快なまでのカリッとした食感を最大限に楽しめます。

「中津名物・からあげ」の中にさらに名物があるとすれば、それが『もり山』の塩からあげかもしれません。2023年に入り、徐々に旅行もしやすくなってきました。大分県を訪れる機会があれば、ぜひとも万難を排して味わってみてください。
●著者プロフィール
松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。