これが世界で一番飲まれている蒸留酒! ガチ中華に合わせたい「白酒」の魅力とは?

「ガチ中華には、ガチな中国酒を!」一般社団法人日本中国白酒協会が設立

左から中川正道氏、郭斌氏、黄曜東氏、高克明氏、菊池一弘氏
左から中川正道氏、郭斌氏、黄曜東氏、高克明氏、菊池一弘氏

 このように奥深い魅力を持つお酒であるにもかかわらず、日本で白酒は、ほぼ知られていません。いま日本では、様々な中華料理を食べることができ、最近では“ガチ中華”という日本人向けにアレンジされていない、本場の中華料理が流行しています。せっかく“ガチ中華”を楽しむなら、お酒も本場の味を選び、宴会文化も含めて中国数千年の歴史と文化を楽しんでほしい。そんな思いから設立されたのが、一般社団法人日本中国白酒協会(以下、白酒協会)です。

 白酒協会の会長には、中国酒を扱う商社・日和商事株式会社の社長である黄曜東氏、理事には同社専務の高克明氏と同社広報部長の郭斌氏が就任。このほか初代ラムバサダー・羊齧協会代表の菊池一弘氏と、四川省公認の四川料理の専門家で麻辣連盟総裁、四川フェス実行委員長などを務める中川正道氏が同協会の理事に就任しました。

 白酒協会は「“ガチ中華”には“ガチ中国酒を”」を合言葉に、白酒と白酒にまつわる文化の魅力を発信。白酒を通じて、日本と中国の文化交流の懸け橋となることを目指しています。

3つの有名白酒「貴州茅台酒」「五粮液」「汾酒」をチェック!

左から「30年陳醸 汾酒」、「貴州茅台酒」、「五粮液」、「品味.舎得(四代)」
左から「30年陳醸 汾酒」、「貴州茅台酒」、「五粮液」、「品味.舎得(四代)」

 2022年6月1日に行われた白酒協会設立記念イベントでは、協会設立の趣旨説明や白酒についての解説が行われました。今回は同イベントで振る舞われた、有名白酒をチェックしてみましょう。

 中国を代表する高級白酒として世界的に有名なのが、醤香に分類される「貴州茅台酒(キシュウマオタイシュ)」。国賓級のおもてなしなど公的な外交の場においても多く用いられており、1972年に日中国交正常化式典の宴席で、時の田中角栄首相と周恩来総理が乾杯したのも、この茅台酒です。いまでは世界一の蒸留酒メーカーとして知られ、その時価総額はアメリカのコカ・コーラやトヨタ自動車を上回ります。

 茅台酒と並び有名なのが、四川を代表するお酒「五粮液(ゴリョウエキ)」。「高粱(コーリャン)」、「糯米(もち米)」、「大米(うるち米)」、「トウモロコシ」、「小麦」の五種類の穀物を原料としていることから、この名が付けられています。濃香中の濃香との声も高く、白酒の中で最も香りが良い高級酒です。

 中国のお酒で最も古い銘柄と言われているのが、山西省杏花村発祥の「汾酒(フンシュ)」。古くは南北朝時代(西暦420~585年)の北斉のころから生産されていたと言われ、1000年以上の歴史を持ちます。清香のため滑らかな口当たりと深いコク、清涼感のある後味が印象的です。

幾度となく行われる中国の乾杯(ガンベイ)文化と、白酒の飲み方

 日本で乾杯は最初の挨拶と締めの挨拶の2回程度とされていますが、中国では宴会中幾度となく乾杯を行うのが一般的です。誰かが「乾杯(ガンベイ)!」と掛け声をかけたら、そこにいるみんなでグラスに注がれた白酒をクイっと飲み干す文化があります。

それぞれのブランドごとに注ぐ用の酒器やグラスが用意されており、コレクションしたくなる
それぞれのブランドごとに注ぐ用の酒器やグラスが用意されており、コレクションしたくなる

 白酒の飲み方ですが、中国ではストレートもしくはロックが親しまれています。また白酒を飲む際は、ボトルから直接グラスに注ぐのではなく、徳利のような注ぎやすい酒器に移してから、小さなグラスに注ぎます。白酒のグラスはショットグラスよりもさらに小さいミニサイズで、ブランドのロゴマークも入っており、意外にとってもキュート。今回イベントにて乾杯文化を体験してみましたが、このサイズのグラスであれば度数の高い白酒も美味しく楽しくいただけました。

2022年6月1日に行われた白酒協会設立記念イベントの様子(食楽web)
2022年6月1日に行われた白酒協会設立記念イベントの様子(食楽web)

 今後、白酒協会はWEBサイト、SNSなどを通じた日本国内での情報発信や、お酒のスペシャリスト向けの勉強会、白酒文化を楽しむ消費者向けイベント、大型白酒イベントの開催のほか白酒の飲み方、宴会文化などの普及啓発活動を行なっていく予定ということです。

 ガチ中華の流行に伴い、今後日本でも注目されていきそうな白酒。日本の中華料理店でも当たり前のようにたくさんの白酒がラインナップする、そんな風景が早く見られることを願いたいところです。

(取材・文◎中森りほ)

●DATA

白酒協会

https://baijiu.jp/