大迫は日本のワイン発祥の地だった!?

おおはさまワイン祭りでは毎年、限定1,000本のスペシャルワインが販売されており、この日にしか入手できないとのこと、なくならないうちに購入し、さっそく味わってみた。
原料のぶどうはキャンベル・アーリー。香りが高く、独特のフルーティーな味わいが特徴の品種だ。辛口の赤ワインを、記念のグラスでいただく。このグラス、総合文化財センターに展示されている“縄文ワイングラス”に似ていてなんともユニークだ。
さわやかでフレッシュ、そして濃厚なぶどうの香りがふわりと鼻をなでてくれる。酸味は軽めで、辛口ながらもフルーティーな味わいが印象的で重くない。のどごしも軽やかで、スイスイと飲めてしまう。赤ワインは肉料理にあうと言われるが、これは軽めの味付けの肉料理との相性がよさそうだ。ローストビーフや豚しゃぶ、塩味の焼き鳥などとあわせてみたくなる。
さて、ここ大迫町には、ワインにまつわるちょっと興味深い話がある。縄文時代、すでにこのあたりでワインが飲まれていたのではないか、というのだ。もちろん、今の私たちが口にしているようなワインではなく、ぶどうなどの果物を発酵させた簡単なものだったのだろうが、それを物語るアイテムが、花巻市総合文化財センターに展示されている。ワイングラスそっくりの土器がこの付近の遺跡から出土しているのだ。縄文人たちがどんなシーンでワインを飲んだか、非常に興味をそそられる。ひょっとすると大迫町は日本のワイン発祥の地かもしれない。

(つづく)
(取材・文/松本壮平)