
今年で3年目となる「四川フェス 2019」が4月20日(土)・21日(日)に、新宿中央公園で開催されます。来場者数は延べ10万人を超え、本場・四川の味伝えてきた大人気フェス。その仕掛け人の一人、麻辣連盟総裁・中川正道さんに、四川料理の魅力について語ってもらうカウントダウン企画です。
はじまりは今から20年前に食べた回鍋肉
初めまして。中国の四川省公認の四川料理の専門家、麻辣連盟総裁の中川です。今回は、私が四川料理にハマッた話から始めたいと思います。
今から20年ほど前。20歳の私は、東京の幡ヶ谷にあったタバコと酒を販売する小さな商店でアルバイトをしていました。その店主のおじいちゃんは、ビンボー生活を送る私をみかねて、しょっちゅう、ごはんを食べに連れっていってくれたんです。中でも印象的だったのが、ビル地下にあった四川料理屋さん。
店はとても小さいのですが、四川出身の店長が作る本場・四川料理のお店でした。私たちが決まって注文するのは「回鍋肉(ホイコーロー)」。これが、今まで食べた味とは全然違ったのです。
油でツヤツヤと光る皮付きの豚肉に、やわらかく、それでいてシャキッとした食感の残る葉にんにく。日本のスーパーで売っているような「回鍋肉」のタレの甘さは全くなくて、豆瓣醤の辛さがピリッと舌を刺激し、食べ進むごとに食欲が掻き立てられました。
「本当の四川料理って、こんなに美味しいんだ……」
そのお店は残念ながら今はもうありませんが、舌の記憶は深く刻まれ、20年近く経った今でも、あの時食べた回鍋肉の味を忘れられません。そして、その回鍋肉をきっかけに、私の人生は大きく動き出し、中国・四川省に向かうことになったのです。
23歳で四川省の大学に留学

3年間、お金を貯めて、23歳の時に、中国は四川省の成都に留学をしました。カツカツだったので、学費や生活費を賄うため、現地でアルバイトもしました。そんな忙しい中で、唯一の楽しみは四川料理を食べることでした。とにかく安くて旨い。
しかも、うさぎの脳みそや、豚の尻尾、あひるの嘴(くちばし)など、日本では食べたことのないメニューの数々に衝撃を受け、その味の深さにますますのめり込んでいきました。
留学期間は4年に及びましたが、四川料理の種類は果てしなく、すべてを食べ尽くすことはできないまま帰国することになったのです。
帰国後、一般企業に就職したのですが、四川料理への思いは募るばかりでした。そこで数年後、思い切って会社を辞め、またまたなけなしの貯金を持って、再度、四川へ渡ったのです。
そこで今度は何をしたかというと、四川料理の食べ歩き。しかも、現地の親友の張勇に声をかけて、現地の本、サイト、口コミなどで情報収集しながら四川省中の飲食店200店舗をアポなしで突撃取材をしたのです。

それを一冊にまとめたのが四川料理ガイドブック『涙を流し口から火をふく、四川料理の旅』(書肆侃侃房)です。
さらに四川料理の食文化を伝えるWebメディア「おいしい四川」を立ち上げました。こうして四川料理の魅力を発信することが私の仕事になっていったのです。
3年前に始めた「四川フェス」は、その延長であり、私にとって集大成のような存在になっています。
東京を三度赤く染める四川フェス2019

「四川フェス」は、本当の四川料理をもっと広め、皆でその美味しさを体験することを目的に、料理を中心に四川の文化を味わいつくすイベントです。
今年は過去最大29店舗の料理店が出店します。『赤坂四川飯店』の陳建太郎シェフ、『ファイヤーホール4000』の菰田欣也シェフ、『中國菜 老四川 飄香』の井桁良樹シェフ、『神田 雲林』の成毛幸雄シェフをはじめ、日本を代表する四川料理の料理人がたくさん参加します。
そして、四川本場の味の火鍋や、汁なし担々麺、麻婆豆腐、よだれ鷄をはじめ、これまで食べたことがないような料理が楽しめると思います。
次回からは、フェスをより楽しんでいただけるよう、四川の名物料理や楽しみ方をご紹介しいてこうと思いますので、どうぞお楽しみに!(続く)
●DATA

「四川フェス2019」
開催日時:
2019年4月20日(土)11:00~17:00
4月21日(日)10:30~17:00
※料理は売切れ次第終了
会場:新宿中央公園(東京都新宿区西新宿2-11)
四川フェス2019 公式サイト
https://meiweisichuan.jp/sisen-fes2019
四川フェス実行委員会は3月22日から四川料理クラウドファンディングを開始しています。
https://camp-fire.jp/projects/view/131659
●プロフィール

中川正道
四川省公認の四川料理の専門家、麻辣連盟総裁、時色株式会社代表兼デザイナー。2002~2006年まで四川省に滞在、四川料理に魅了される。2012年に単身、四川省へ行き、四川の仲間たちと200店舗の四川料理店を食べ歩き「おいしい四川」サイトをリリース。2014年夏に日本初!四川料理食べ歩きガイドブック「涙を流して口から火をふく、四川料理の旅」を出版。2日間で6.5万人を動員した四川フェス主催。これまでの活動が実を結び、2018年のマー活、花椒がブームに。「今年の一皿」ではしびれ料理が準グランプリになる。