お花見で楽しめる! 覚えておきたい日本酒に合うチーズの選び方とは?

アミノ酸が多い吟醸酒はチーズの旨みと相性抜群

 こちらのミニセミナーの講師を務めるのは、恵比寿の「GEM bu moto」の店長の千葉麻里絵さん。千葉さんは大学で化学を学んだ経験を活かし、化学的な理論で日本酒を突き詰めているそうです。

千葉さんは利酒師の資格も持つ。蔵元との交流を礎に、日本酒の魅力を広く伝えるコラボレーションも多数行う
千葉さんは利酒師の資格も持つ。蔵元との交流を礎に、日本酒の魅力を広く伝えるコラボレーションも多数行う

 今回は、用意された2種類の日本酒に合う各2種類のチーズの試食をさせてもらいます。この日テイスティングしたのは、吟醸酒の「鳳凰美田 Black Phoenix」と貴醸酒の「生酒 満寿泉」。

「鳳凰美田」は栃木県の小林酒造の吟醸酒で、甘い味わいの出やすい酒米「愛山」という酒米を100%使用している
「鳳凰美田」は栃木県の小林酒造の吟醸酒で、甘い味わいの出やすい酒米「愛山」という酒米を100%使用している

 鳳凰美田のようなフルーティーな香りのする吟醸酒にはアミノ酸が多く含まれています。そして、このアミノ酸は“旨み成分”のもととなるもので、この旨みがチーズの旨みにも合うのだとか。

 日本酒に合わせるチーズの大本命は「ミモレット」だそう。旨みが強く、カラスミのような味わいだと例えられるミモレットは、日本酒と好相性です。

 しかし、今回組み合わせたのは「マンステール」と「コンテ18か月」。マンステールはウォッシュタイプのチーズで、表面に少し粘り気があります。納豆のような感じがあり、多少の匂いはあるものの、日本人には比較的食べやすいチーズだそうです。

左上から時計回りに、マンステール、コンテ18か月、ラングル、フルムダンベール
左上から時計回りに、マンステール、コンテ18か月、ラングル、フルムダンベール

 実際にマンステールと鳳凰美田を一緒にいただくと、想像以上に相性抜群! フルーティーな日本酒とねっとりクリーミーなチーズの口当たりは、絶妙なマリアージュを生み出しています。

 コンテは、少し固めのチーズで、パキッと割って食べることで香りが引き立つそう。チーズ自体にはほぼクセがないのですが、18か月熟成させたことで、パイナップルやナッツのような香りが出ています。鳳凰美田と合わせると不思議とトロピカルな感じがして、チーズは軽く、お酒は酸味が出てきます。比較的購入しやすく、カットして持ち歩きやすいチーズなので、お花見では大活躍しそうです。

 一般的に日本酒にはあっさりしたチーズを合わせがちですが、チーズのタンパク質が旨み成分に、脂肪分は香り成分に変化していくので、熟成したチーズを合わせるのもひとつの手です。

貴醸酒×ブルーチーズは鉄板の組み合わせ

 貴醸酒の満寿泉に合わせていただくのは、「フルムダンベール」と「ラングル」というチーズ。フルムダンベールは青カビタイプではあるものの、見た目の青カビの多さに比べるとマイルドな味わいです。筆者もブルーチーズは少し苦手だったのですが、フルムダンベールはおいしくいただけました。

 そんなブルーチーズと満寿泉の組み合わせは、たとえるならチーズにはちみつをかけて食べるような感じです。そもそも、貴醸酒とは水の代わりに酒で仕込んだ酒なので、酒自体の甘みがかなり強く出ています。濃厚でとろりとした味わいが、ブルーチーズに合わないわけないですよね。

 それに対し、ウォッシュタイプのラングルは、独特の匂いもあるものの、ヨーグルトのような酸味や、食べたときに少し口の中にざらつきの残るチョーク状に仕上がっています。貴醸酒と合わせたときにパイナップルのような酸味が出てきて、なかなか不思議な味わいになりました。チーズ単体では苦手な人も、貴醸酒とこの組み合わせは食べやすいはずです。

 日本酒とチーズを合わせるときに気を付けたいのは、“口内調理”を意識すること。これは日本人特有の食文化ですが、口のなかで味を組み合わせることが、実は大事になってくるそうです。

今回のミニセミナーでは日本酒がワイングラスに注がれた。日本酒の香りを楽しむなら、口の広いグラスを使うといい。
今回のミニセミナーでは日本酒がワイングラスに注がれた。日本酒の香りを楽しむなら、口の広いグラスを使うといい。

 今回筆者が参加したミニセミナー以外にも、ラ・メゾン・デュ・フロマージュではさまざまなセミナーが開催されています。しかも、店内ではヨーロッパ産チーズの試食体験コーナーも。開催期間は3月26日(月)までなので、チーズ好きはぜひ足を運んでみてください。

(取材・文◎今西絢美)