個性的で美味しすぎる本格カレーに感服

今回、「36チャンバーズ・オブ・スパイス」の田中さんが挙げてくれたレトルトカレーは、以下の7つ。成城石井などでは650円程度で売っています。
◎ユザーン&石濱監修「ベンガリーマトンカレー」
◎渡辺玲監修「ビーフ・ナハリ」
◎渡辺玲監修「ラール・マース」
◎『馬来風光美食』監修「ビーフルンダン」
◎『味楽来』監修「カンボジアチキンカリー」
◎『ピワン』監修「チキンカレー」
ベンガル、パキスタン、北インド、マレーシア、カンボジア、さらに吉祥寺のスパイスカレーの人気店などがずらり! というわけで、いったいどんなカレーなのか一挙にご紹介したいと思います。
ユザーン&石濱監修「ベンガリーマトンカレー」

インド・西ベンガル州からバングラデシュにかけて広がるベンガル地方。この地域の料理研究家であるシタール奏者・石濱匡雄氏とタブラ奏者のユザーン氏が監修したのが、この「ベンガリーマトンカレー」です。
具材には大きな羊肉、そしてジャガイモもゴロゴロ。スパイスはカイエンペッパーやクミン、ターメリック、コリアンダー、ガラムマサラ、カルダモン、シナモン、クローブ、ブラックペッパー、ローレルなどの11種類を使用しています。
口に含むと、薬膳的な深い香りが鼻孔をくすぐり、羊肉から染み出た独特の旨みが舌に広がります。

スパイシーさを強調するタイプのカレーではなく、野菜、羊肉、香辛料といった食材の自然の香りと旨みを丁寧に引き出しているカレーで、香りもじつに穏やかな香りがして、まるで厨房からそのまま出てきたような手作り感も感じます。とくに羊肉好きな人は、ハマる味だと思います。
渡辺玲監修「ビーフ・ナハリ」&「ラール・マース」

次にご紹介するのは、東京のクッキングスタジオ「サザンスパイス」を主宰するインド&スパイス料理家・渡辺玲(あきら)氏が監修した「ビーフ・ナハリ」と「ラール・マース」の2つのレトルトカレーです。この2つ、まったくタイプの異なる味わいなのですが、甲乙つけがたいほど美味しいので2個買いがおすすめ。
まずは「ビーフ・ナハリ」。

レトルトパウチの封を開けると、いきなり大きな牛肉どかんとこぼれ落ち、シャバシャバしたスープ状のカレーで皿が満たされました。またたく間にクミンやコリアンダーの香りが立ち込めます。スープをひと口飲んでみると、長時間煮込んだ肉の旨みがしっかり溶け込んでいて、そこにエキゾチックなスパイスの風味、そしてショウガやにんにくなどの香味食材の粒感のある味が追いかけてきます。
そしてこのカレーの醍醐味はやっぱり大きな牛肉。しかもポイントは筋の部分なんです。

この筋がトロットロ。本来かたい筋部分ですが、ゼラチン状になるまでじっくり煮込んである証拠ですね。欧風のビーフカレーとは違い、さらりとしたスープで後味が軽いのに、しっかりとした食べごたえもある。そう、ステーキを1枚食べたくらいの満足感。ちなみに、特製ガラムマサラが別添えになっていて、これを食べる直前にかけると、けっこう辛くなります。
続いて、これも渡辺玲氏の監修の「ラール・マース」です。

ラールは赤、マースは羊肉という意味で、真っ赤なソースに羊肉がゴロゴロ入ったカレーです。こちらは先程の「ビーフ・ナハリ」とは違って、濃厚でとろりとしたタイプ。

そしてこのカレーの特徴は、この鮮やかな赤色にあります。北インドのラージャスターン州の赤唐辛子が、赤くなるほどたっぷり使ってあるんです。ひと口目からかなり辛く、後口もピリピリ。でも辛いだけでなく、香味野菜やヨーグルトの甘みや酸味、そしてマトンの肉の旨みもしっかり感じられます。
ちなみに、もっと辛いのが好みという人に向けて、先程同様、別添えの特製ガラムマサラがついています。食べていると、どんどんこの辛さがやみつきになっていくから不思議。辛党にはぜひオススメしたいカレーです。