絶品の「たまご丼」を食べてみた
たかが卵。されど、「紅玉」の味は絶対に忘れられません。そこで、もう一度食べたくて、6月某日、埼玉県深谷市の『田中農場』さんまで車を走らせることにしました。

今回は卵を買う目的だけではなく、「なぜあんなに美味しいのか」を知りたくて、事前に『田中農場』に連絡をし、農場を経営する田中拓也さんにお会いすることにしました。

なんでこんなに美味しいの?
直売所に並ぶ卵を見て、買い占めたい衝動に駆られますが、まずは、「なぜこの卵はこんなに美味しいのでしょう?」と田中さんに質問!
すると、「とにかくまずはお昼を食べに行きましょう。近所に美味しい定食屋があるので」と、農場から5分ほどの場所にある『御食事処 さくら』に向かいました。

入店すると、地元のお客さんでいっぱい。皆さん、かつ丼やラーメン、定食などを食べています。田中さんが「ここの玉子丼が絶品なんですよ」と言って、注文をしてくれました。そして、「じつは、うちの卵を使っているんです」とニヤニヤ。
ほどなく登場した「玉子丼」は、豚肉と玉ねぎを田中農場の卵でとじた一品でした。とろとろの卵が載っているのに、田中さんは農場から隠し持ってきた卵を、丼にパカッ。
「“追い卵”することで、より卵の美味しさがわかると思います」と言うのです。


とろりと濃厚な卵をごはんと一緒にレンゲで持ち上げて一口。
「どうですか? 美味しいでしょう。うちの卵が美味しい理由は、臭みが一切ないからなんですよ」と田中さん。
確かに臭みは全くなく、濃厚な卵の旨みのみが口中に広がります。そこで、「どうやってこの卵ができるのですか?」と尋ねると、「一番大事なことは、鶏の飼育環境なんです」と教えてくれました。
鶏の飼育には主に「平飼い」と「放し飼い(解放鶏舎)」「ケージ飼育」の3つがありますが、田中農場が採用しているのは「ケージ飼育」だそうです。
「ケージ飼育のメリットは、卵とフンが混在しがちな他の飼育方法と比べて、それぞれをしっかり分けられるので、綺麗で安全な卵を採取できることです」

「また、卵の殻は、呼吸をしています。鶏のいる鶏舎の空気がフンやほこりなどで汚れていれば、卵は臭くなるので、うちのスタッフは1日中鶏舎の掃除をしているんですよ。床も空気も常にクリーンにして、鶏にも卵にもストレスがかからない環境を保っています」
飼料も、臭みを抑える効果がある海藻やヨモギや、抗酸化作用があるといわれるアスタキサンチンなどを配合しているそうです。
こうして大切に育てられた『田中農場』の卵が、いかにすごいかというと、たとえば東京のミシュラン店『天本』(東麻布)や『くろぎ』(大門)、『カンテサンス』出身の加瀬シェフが腕を振るう『オルグイユ』(外苑前)など、そうそうたる名店で使用されていることからもわかると思います。

このあと、広大な敷地にあるいくつもの鶏舎を見学させていただくと、スタッフの方々がみんな清掃、洗浄していて、空気も床もびっくりするくらいキレイ! これは安心です。
そして直売所に戻り、卵を大量買い! しばらくは卵かけご飯、目玉焼き、スクランブルエッグ、オムレツ、茹で卵、と卵三昧です。『田中農場』の「紅玉」を食べると、もう、他の卵が食べられないと本気で思います。通販もあるので、皆さんも是非、お試しください。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:田中農場
住:埼玉県深谷市本田1448
TEL:048-583-5683
営:9:00~17:00(お問合せ8:00~17:00)
休:不定休
http://tanakafarm-brand.com