●調査内容:豊島屋の「鳩サブレー」以外の商品を調査。中の人がオススメする和菓子を試食し、旨さの秘密を探ります!
鎌倉土産でお馴染み「鳩サブレー」。自分で買ったり、お土産でもらったりと……特に関東圏にゆかりの人なら一度は食べたことのあるあまりに有名な銘菓です。
販売元の豊島屋は、「鳩サブレー」のあまりの知名度から、「『鳩サブレー』だけ作っている会社なのではないか?」と思う人もいるかもしれませんが、実はさまざまな和菓子をつくる歴史ある和菓子屋さんなんです。その商品の数は、なんと年間100種以上とも言われ、その中には地元・鎌倉で評判のパンなども含まれるそうです。
ここでは、「鳩サブレー」の豊島屋が誇る、「鳩サブレー」以外の名作菓子に迫ります。解説していただいたのは、豊島屋・広報部の宮井通昌さん。それではいってみましょう!
代表的商品「鳩サブレー」の誕生秘話
まず、本題に入る前に、豊島屋の代表的商品「鳩サブレー」の歴史について、宮井さんに教えてもらいました。もともと、豊島屋は瓦煎餅をメインに販売していたところ、あることがきっかけで「鳩サブレー」製造に至ったのだそうです。
「豊島屋は1894年(明治27年)創業の和菓子屋で、創業時のメイン商品は鎌倉で出土した瓦をモチーフにした瓦煎餅でした。1897年(明治30年)、たまたま来店された外国人にもらった焼菓子が美味しくて、何とかその味を再現したいという思いから鳩サブレーを作りました。なぜ鳩の形にしたかというと、元々初代は鶴岡八幡宮を非常に崇敬しており、かねてから『八幡様にちなんだお菓子を作りたい』と考えていたからです。掲額の八の字が抱き合わせの鳩の絵文字になっていることや、八幡様の『神の使い』が鳩であること、境内に鳩がたくさんいて子供たちに親しまれていることから、鳩をモチーフにしました」(豊島屋・宮井さん)
鎌倉を語れる、感じられる、表現できる……「鳩サブレー」以外の商品たち
「鳩サブレー」以外の豊島屋の商品は、上生菓子、落雁、麩焼き煎餅、お饅頭、羊羹、季節菓子(水羊羹、栗蒸など)など。商品名には鎌倉の地名や鎌倉にちなんだ名前を付けているそうです。中でも宮井さんイチオシのいくつかの商品をいただいてみます。
・「ワッフル」1個220円
宮井さんいわく「和菓子屋が作ったワッフル」とのことで、どら焼きの生地を思い出させるような口当たりが優しくて良いです。さらに中からは風味豊かな杏ジャムが! ワッフル生地のやさしい甘みと、さっぱりとした繊細の杏ジャムの組み合わせがベストマッチな逸品でした。
・「汀(なぎさ)饅頭」1個180円
焼き印のある、どこか懐かしい印象の焼き饅頭。割ってみると、中になめらかなこしあんが入っており、小豆の豊かな風味が実に上品。奥深い味わいが口いっぱいに広がります。
・「かすてら饅頭」1個180円
ツルンとしたフォルムがかわいい焼き饅頭。中は白あんで、あっさりしていながら、やさしく上品な甘さが口いっぱいに広がります。
・「豊(ゆたか)饅頭」1個180円
ごろっとしたくるみが乗った、まるであんぱんのような見た目の豊饅頭。小豆の粒をあえてつぶさずに炊き上げたつぶし餡が入っていて、小豆の風味をより一層感じます。くるみが食感のアクセントになっていて、口当たりも楽しい逸品です。
・「栗饅頭」1個260円
その名の通り、栗のような色合いが印象的ですが、中の白あんにはなんと刻んだ栗が入っていました。栗の芳醇な香りと、それをやさしく包む白あんの組み合わせは、まさに豊島屋の芸の細かさが詰まった逸品です。
・「名所まんじゅう」810円
そして、大仏や鳩など、鎌倉の名所・12ヶ所を選びかたどった人形焼きのような商品で、豊島屋の鎌倉愛が詰まった商品。ふんわり柔らかなカステラ生地の中に甘さをおさえたこしあんが入っています。本店のほか一部店舗でしか買えないので、鎌倉に来た際にはぜひチェックを!