天下一品の「サービス定食」を味わう

天下一品でオーダーしたのは「サービス定食」(1130円)。ラーメンと半チャーハン、餃子5個がセットになったメニューで、王将のセットと同じ構成。前述の通り、先ほどの王将のこってりラーメンセットより50円ほど安いです。
さっそく「こってり」からいただきます。まず、チャーシューやメンマ、ネギが、スープの中にまったくと言っていいほど沈んでいません。欧風カレーかカルボナーラのソースのような高濃度&高粘度のスープなので、箸で押し込まない限り、なかなか沈まないのです。
そしてスープをひと口すすると、知っていたとはいえ「こ、濃い~!」と声が漏れ出てしまうくらい、その濃厚さが半端ではありません。味わいは王将のスープは豚骨ベースだったのに対し、天一は鶏ガラ。数十種類の野菜のエキスも含まれているということで、濃いだけでなく、奥深い旨みがじわじわと味覚を刺激してきて、レンゲを持つ手が止まりません。悪魔的で背徳的。これぞ天一ですね。

麺は、良質な小麦から作った多加水麺を使用しており、しっかりとした歯応えがあって、ポタージュのような濃厚なスープをほどよく絡め取ります。そしてスープの旨みに負けないくらい、小麦の風味もしっかりと感じられます。改めて言うのもおこがましいですが、やはり天一のこってりは、店名どおりまさに「天下一品」だと思いました。
天一の餃子と半チャーハンは?

続いて、天一のセットの餃子とチャーハンに箸を伸ばします。餃子は小さめのひと口餃子で、王将の餃子ほどの貫禄はなし。見た目はカリッと香ばしく焼かれており、ニンニクと野菜と肉のバランスも良い。しかし、いかんせんジューシー感はなく、口に入れると食べたことを忘れるほど軽いので、存在感はあまり感じられません。

そして半チャーハンです。“半”と付いていますが、お茶碗1杯以上はあって、かなりボリューミー。しっとりタイプで味はかなり濃いめ。これだけを食べるならいいのかもしれませんが、醤油も塩味もかなり強い印象です。こってりラーメンのサイドとしては「濃すぎる…」と思ってしまいました。

というわけで、王将と天一のこってりセットを食べ比べてみたわけですが、「こってりラーメン」単品で言えば、天下一品の圧勝です。キャッチフレーズの“こってりひと筋50年”というだけあって、天下一品のこってりラーメンは唯一無二の味わい過ぎました。
ただし、こと「セット」という観点で言うと、王将に軍配を挙げたいと思います。というのも、王将の「こってりラーメン」は、実はこってりと言いつつあっさりしており、餃子や炒飯との相性がとても良い。「ラーメンセット」と謳いつつも、ラーメンはあくまで脇役。主役はあくまで餃子で行くぞ! という意地と矜持を感じます。つまりラーメン、餃子、炒飯の平均点が高く、トライアングル食べすると総合力が秀逸なわけですね。

というわけで、同じ名前のラーメンだったのでつい比較してしまいましたが、なかなか発見の多い食べ比べでした。最後に、身も蓋もないことを言うようですが、美味しい餃子を食べたいなら『餃子の王将』に、こってりラーメンを食べたいなら『天下一品』に行くのが正解かなと思います。
(撮影・文◎土原亜子)