地域密着・原点回帰をテーマにした「街のせんべいスタンド」
その老舗和菓子店が「地域密着・原点回帰」をテーマに、新たなチャレンジとして始めたカフェ併設型店舗が「松崎煎餅コンセプトストア」。江戸時代中期、芝魚藍坂(現在の東京都港区三田4丁目と高輪1丁目の境目にある坂)に町の菓子屋として店舗を構えていた時代に立ち返り、ひとつひとつの商品を、ひとりひとりの客に丁寧に紹介、味わってもらいたいという思いからスタート。昨年の世田谷区松陰神社前に続き、今月、東急線元住吉駅のブレーメン通り商店街に2号店がオープンしました。

「これまでの200年、そして次の200年を考えたときに、何をすべきかを考えました」と代表取締役副社長であり、そして8代目でもある松崎宗平さん。大学卒業後に勤めたIT系企業から実家の家業に転職して約10年、まだまだアナログだった社内環境の整備、そして自分自身の自己分析も重ね、満を持して新プロジェクトを起動させました。
「都心部や商業地域の店舗で進物として売るのとは対照的に、街に根付いた店でいかにたくさんの方に煎餅を口に運んでもらえるか。お客様に煎餅をより深く知っていただく、楽しんで召し上がっていただくことはもちろん、僕ら自身も店を営む、煎餅を売るということを楽しみたいと思ったんです」
実は松崎さんは2002年に結成された3人組のユニット「SOUR」でベースを担当するプロのミュージシャンでもあります。最初に元住吉を訪れたのは、この街でのライブ開催がきっかけだったそう。
「その街にあった店づくりをこれからも進めていけたら」
今後もコンセプトストアを様々な街で展開していく予定です。

甘じょっぱい限定パフェや音符の踊るあんみつに舌鼓!

カフェメニューのおすすめは和洋折衷の「黒蜜きな粉パフェ」。アイスクリームと白玉の下にはつぶあん、寒天、砂糖を少量だけ使った生クリーム。味噌味の「江戸瓦 二つ折」が忍ばせてあり、これが甘じょっぱく、小気味いいアクセントに。トップに飾ってあるのは、そら豆を使った「江戸瓦 びんず」。食感や味わいの異なる瓦煎餅を贅沢に楽しめる、こちらならではの個性派パフェです。黒蜜をかける前に、ぜひひと口、味わってみてください。
抹茶と黒糖、2つの音符型の羊羹が愛らしい「クリームあんみつ」は、上質な寒天とつぶあんがストレートに楽しめます。

店内には様々なサイズの瓦煎餅の詰め合わせほか、揚餅や八穀おこげなどの種類がある「松崎煎餅コンセプトストア」限定のスタンドパックシリーズ(1袋378円~、税込み)も並んでいます。
銀座本店やデパ地下だと少しだけ敷居が高く感じられる煎餅も、地元商店街にあると親しみが感じられますね。200年の歴史のあるホンモノの煎餅を、気軽に楽しんでみませんか。
●SHOP INFO

店名:松崎煎餅 モトスミ・ブレーメン通り店
住:神奈川県川崎市中原区木月1-27-7
TEL:044-431-8444
営:11:00~19:30(L.O.)
休:火、年末年始
※松崎煎餅の「崎」は正しくは「たつざき」です。高島屋の「高」は正しくは「はしごだか」です。
http://1804.matsuzaki-senbei.com
●著者プロフィール
大滝美恵子 / Mieko OTAKI
食系ライター&エディターとして仕事を始めて約四半世紀。フランス在住時にCAP Cuisine(フランス国家調理師試験)取得。パリ、そして香港を中心に、あちこちを歩き回っています。