千葉在住ライターが、東京の友人に自慢したい、“ピーナッツだけじゃない”県内のおいしいものを気ままに紹介。房総を拠点にした「食」にまつわるあらゆるものを見つめた、飲んで・食べて・知る千葉の風土&food記です。
「三番瀬」を釣って揚げる天ぷら職人を訪ねて。
(千葉県浦安市)

前回に引き続き、今回も浦安で多彩な魚を味わいます。やってきたのは、2011年に店を開いた天ぷら専門店「天悟」(てんさと)。こちらの大将・宇田川(うだがわ)さんは、浦安の隣町・葛西の出身。浦安と同じ旧漁村であるため、東京湾に親しんで育ちました。
しかも、亡き祖父が漁師だったこともあり、自身も筋金入りの太公望。休憩時間には「三番瀬」(浦安・市川・船橋・習志野の4つの市に囲まれた浅瀬と干潟の総称。東京湾の最奥部にある)や近くの海・川へ毎日のように釣りに出かけるため、通常は市場や鮮魚店で見かけないような珍しい魚を、天ぷらや一品料理で味わえるというわけです。
「竿を入れただけで今年の海や川の具合がわかりますね。珍しい魚が入った時はFacebookで発信しているので、魚の研究をしている先生とか、料理研究家の方もいらっしゃいます」
釣った魚以外に、築地や浦安の魚市場で自ら仕入れた旬魚も扱います。
「天ぷらは“一年中が旬”な食べ物。うちは、浦安の海の魅力をプレゼンしたくて天ぷら屋をやっているようなもんです」という言葉には、思わずグッときます。
この日オススメされたのは、三番瀬で採れた「クロダイ」に、地元・浦安で珍しい魚に力を入れる「鮮魚 泉銀」(前回の記事を参照)で仕入れた「カツオ」、さらに大将が浦安の海で釣った「ハゼ」や「ボサエビ」、「イシガニ」まで、実に多彩。これらを早速天ぷらでいただきます!


