世界一固い「あずきバー」がフワフワかき氷に! 専用削り機の威力がすごかった!

世界一固い「あずきバー」がフワフワかき氷に! 専用削り機の威力がすごかった!
食楽web

 かき氷、アイスクリーム、ソフトクリーム、シャーベット。夏はもちろん、年がら年中、様々な氷菓が楽しめる昨今。しかし、大人になると「人前ではなんか食べづらいな~」と思うのが、アイスキャンデーです。

 その最大の理由が本体に刺った棒。あれがあるおかげで、“子供の食べものです”という気がしてしまうのです。焼き鳥ならまだしも、あの棒を持ってペロペロ舐めたり、しゃぶったりするのは、どうも気が引ける。というわけで、人前でアイスキャンデーを舐められなくなった大人は多いのではないでしょうか。

 しかし唯一、そう思われにくいアイスキャンデーがあります。それは国民的アイスと言える井村屋の「あずきバー」。まずパッケージからして、すだれ模様に渋いアズキ色。風流で、大人っぽいですよね。

 本体のアイスもナチュラルな小豆色。形も小ぶりで、上の部分は、丸みを帯びていて上品なルックス。これを大人がしゃぶっていても、品格が保てます(たぶん)。というわけで、「あずきバー」は、子供はもちろんご高齢の方まで、楽しめるアイスキャンデーと言えるでしょう。

 しかし、問題があります。そう、「あずきバー」は、ご存知、世界一固いアイスという異名を持ちます。本体の裏側にはこんな注意書きがあるくらい。

「固く凍っているため、歯を痛めないようにご注意ください」「冷凍庫から取り出した直後にお召し上がりの際は、アイスが唇や舌にくっつく事がありますのでご注意ください」
「固く凍っているため、歯を痛めないようにご注意ください」「冷凍庫から取り出した直後にお召し上がりの際は、アイスが唇や舌にくっつく事がありますのでご注意ください」

 歯の健康が気になる中高年にとって、この注意書きは恐怖です。

 ちなみに固い理由は、ズバリ「ぜんざいをそのままアイスにしたから」なんです。原材料に、「ぜんざい」と同じ「あずき・砂糖・コーンスターチ・塩・水あめ」だけで、アイスが柔らかくなる添加物は入っていません。また食物繊維たっぷりのあずきをぎっしり詰め込んでいるので、空気の泡が少なくなり硬度が増しているのです。つまり、美味しさを追求した結果、固くなったというわけ。

 ただ最近、このカチコチの「あずきバー」を、ふわふわのかき氷にする秘密兵器を見つけてしまったのです。それはタカラトミーアーツから販売されている「あずきバー専用かき氷器」。これなら専用の棒外しも付いていて、しゃぶりつかないで食べられそう。

「あずきバー専用かき氷器」(2800円・税抜)。キャッチコピーは「人類初!? ふわっと食感のあずきバー」
「あずきバー専用かき氷器」(2800円・税抜)。キャッチコピーは「人類初!? ふわっと食感のあずきバー」

 こんなの買う人いるの? と思うなかれ。買ってみました。やってみました。結論から言いますと、非常に簡単に、これまでにない、ふわっふわの「あずきバー味のかき氷」ができちゃいます。しゃぶることも噛むことなく、口の中でスーッと溶けていく柔らかな「あずきバー」味は衝撃の美味しさです。

「あずきバー」をセットして、専用の棒抜き機で取り、ハンドルをくるくる回すだけです
「あずきバー」をセットして、専用の棒抜き機で取り、ハンドルをくるくる回すだけです
「あずきバー」が細かく削られてふわふわの食感に
「あずきバー」が細かく削られてふわふわの食感に

 タカラトミーアーツの公式ホームページによれば、この「あずきバー専用かき氷器」が完成するまでに、試作品を何度も作っては失敗を繰り返したそう。その理由はやはり「あずきバー」がモーレツに固いからなのです。そして6号機まで作ってようやく成功したのだとか。いやはや、なんともご苦労なことです。

 しかし、この「あずきバー味のかき氷」、美味しいには美味しいのですが、これは決して「あずきバー」ではありません。このかき氷を食べることで、「あずきバー」の魅力とは何かを改めて考えさせられることにもなります。

「あずきバー」は固いからこそ、いきなり噛めない。だから時間をかけて舐める。口に入れては出し、入れては出し。そうこうしているうちに、ザラザラしてきて、小豆のツブツブを感じる。もう少し溶けると、こっくりとした小豆の甘みを感じて、口の中が上品な“ぜんざい”味で満たされる。これが「あずきバー」。

 つまり、この専用かき氷器。確かに美味しいかき氷はできるけど、それは「あずきバー」ではなく、あくまで美味しい“あずき味”のかき氷。ということだけは最後にお伝えしておきたいと思います。あ、あと、もう1つだけ。「あずきバー」をこの機械に装着していると手間取り、「あずきバー」が溶け出して柔らかくなる場合もある、という本末転倒の事態も起こります。

(撮影・文◎土原亜子)