旨い店はタクシー運転手に訊け! 大山の中華そば『モリス』の自家製麺がとにかく旨い理由とは?

絶品のツルモチ麺がスゴい

「中華そば」の「得のせ」950円
「中華そば」の「得のせ」950円

『モリス』さんのメニューは、もともとは醤油味の「中華そば」と「つけそば」の二本柱。昨年あたりから「塩中華」が登場し、最近は限定で「生姜そば」(900円)というのも登場しています。

 私が決まってオーダーするのは、最初に食べた時と同じ「中華そば」。そしてトッピング増量の「得のせ」(950円)(チャーシュー3枚、メンマ増量、味玉付き)でお願いします。

 まず、スープ。豚や鶏の動物系と、鰹節などの魚介系から丁寧にだしをとり、配合しているそうです。旨味エキスがあふれていて、しかもトゲがなく、とても優しい味です。そして、さらに秀逸なのが自家製麺です。

 使用するのは、北海道産の小麦粉だそうですが、「中華そば」「塩中華」「つけそば」のメニューごとに違う麺を作っているんです。

「中華そば」は、中太ストレート麺で、すすると、ツルッとした口当たり、噛むとモチッとした食感です。私はこれを勝手に“ツルモチ麺”と呼んでいて、なぜ、こんなにツルッともちもちしているのかを店主に聞いてみると、小麦粉にタピオカを配合しているからだ、と教えてくれました。そう、最近、最ブームを起こしているタピオカ。確かに、あの独特のもっちり感が麺に絶妙な具合で表現されているんです。

「塩中華そば」の麺は中細ストレート麺。ちなみに「つけそば」は全粒粉入りの太麺を使っているそうです
「塩中華そば」の麺は中細ストレート麺。ちなみに「つけそば」は全粒粉入りの太麺を使っているそうです

 麺だけではありません。『モリス』さんのラーメンは、丼に入っている素材全てを手作りしています。

 チャーシューは、豚肩ロースト豚バラの2種類。秘伝のタレを使って寸胴で煮込み、寝かせているのだそう。その味が、これまた濃すぎず薄すぎず、スープと一緒にいただくと計算されたかのようにピタリとハマる。

 さて、もう1つだけ、ラーメンとは別のメニューをご紹介したいと思います。それは、「節子の味噌ご飯」(150円)というサイドメニューです。

「節子の味噌ご飯」150円
「節子の味噌ご飯」150円

 このごはんメニューは、代表の松田さんが、子供の頃、お母さんが作ってくれた味だそうで、それを再現しているんです。中身は、煮干しと味噌とニラとマル秘調味料だそうで、これが最高に優しい味なんです。ちなみにごはんの炊き具合も最高です。

 子供の頃からこういう優しい味のご飯を食べて育った松田さんだからこそ、あの「中華そば」を作ることができるんだなぁって、しみじみと思います。

 実は、その松田さんは、昨年8月に徳島で新しく『中華そば藍庵』というお店(https://iron.momojiro.site)をオープンしたそうで、そちらに引っ越され、現在は、石橋圭店長がその味を引き継いで店を切り盛りしています。

 松田さんは、徳島のブランド鶏・阿波尾鶏や生姜を使って、薬膳に基づいた新しいラーメンを開発、提供しているそうです。ぜひ徳島まで車を飛ばしてでも食べに行きたいなぁ。

 ともあれ、皆さんは、まず『モリス』さんの「中華そば」を食べてみてください。優しい味に、きっと感激しますよ。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

中華そばMorris

店名:中華そばMorris(モリス)

住:東京都板橋区大山東28-8
TEL:03-5248-4069
営:11:30~15:00 18:00~22:00
休:水(祝日の場合は翌日)

●プロフィール

荒川治

東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。