旨い店はタクシー運転手に訊け! 初心者でも怖くない『ラーメン二郎』の楽しみ方

旨い店はタクシー運転手に訊け! 初心者でも怖くない『ラーメン二郎』の楽しみ方
食楽web

「旅先で旨いものを食いたければ、タクシードライバーに聞くのが一番」と言います。そこでB級グルメに精通する現役運転手・荒川治さんにイチオシのお店にご案内してもらいます。今回は年末スペシャル第4弾。あの超人気店『ラーメン二郎』の楽しみ方についてご紹介。

「二郎はラーメンにあらず、二郎と言う食べ物なり」

 と、語り継がれる『ラーメン二郎』。三田店の本店から始まり、目黒店や蒲田、新橋、藤沢などの暖簾分け店やまたインスパイア店などが数多くある、超有名店ですね。コアなファンは「ジロリアン」と呼ばれ、初めての方はなかなか敷居が高く入りにくい…と思われています。

 でも、『ラーメン二郎』各店の店主さんはとてもフランクで優しい方が多く、いくつかのルールさえ守っていれば何も恐れることはありません。

 店内に入るとほとんどの店舗に券売機があり、「ラーメン小」と「ラーメン大」の2種類。そこに豚増しがあります。ただ「ラーメン小」と言えど、麺の量はどの店舗でも350g前後と、普通のラーメン屋さんの倍以上あります。食に自信のある方でも最初はラーメン大を頼まないでください。ラーメン大だと500g以上ある店舗もあります。どんなに優しい店主さんでも残されるのを一番嫌いますのでご注意を。

 インスタ映えや面白半分で「ラーメン大」を頼んで残すのは、人としても最低の行為。絶対にやめましょう。それでも「小でも食えるか自信がない…」という人は、どの店舗でも「麺少なめ」や「半分」などの設定がありますので、例えば「ラーメン小の麺少なめ」or「麺半分」をチョイスすれば大丈夫です。

 値段は「ラーメン小」で700~800円程度とリーズナブル。中には「麺少なめ」や「麺半分」は「ラーメン小」より安くなっていたり、卵をサービスしてくれる店舗もあります。

 ほとんどの店舗で行列ができるため、5~7杯程度のロットでまとめて麺茹でするのも二郎の特徴です。食券を買って席が空くのを待っていると、店主さんから「麺量は?」と聞かれますので、必ず自分が買った食券の「小」or「大」または、「少なめ」or「半分」をしっかり伝えましょう。また店舗によっては麺硬めや柔らかめなどのオーダーもできるので、このタイミングで伝えましょう。

 ちなみに、この時点ではまだラーメン二郎名物の「ニンニク入れますか?」ではないのでご注意を。

 さて、ラーメン二郎で忘れてはいけないのは豚。“チャーシュー”ではなく「豚」と言われる所以は、そのサイズや塊的な見た目かと思います。私がホームにしているラーメン二郎では、その塊豚が「ラーメン小」でガッツリ3切れ入っています。普通のラーメン屋なら確実にチャーシュー麺の量です。

 なので、「豚増し」にすると、店舗によってはとんでもないことになります。「ラーメン大」の「豚ダブル」を食べる猛者の「ジロリアン」も居ますが、豚増しにするなら確実に「麺半分」をオススメします。

 席について、いよいよラーメンが出来上がると店主さんから「ニンニク入れますか?」と聞かれます。『ラーメン二郎』ではニンニク・野菜・背脂を無料でトッピングしてくれます。

 店主さんからは「ニンニク入れますか?」としか聞かれませんが、この時、無料トッピングを口頭で伝えましょう。野菜は普通のラーメン小の倍になると思ってください。スープの味が結構濃いめなので、野菜増しにするといくらかマイルドになります。また濃い目がお好きな方は「から目」と伝えると濃い味で提供されます。

 着丼したら、後はもう残さず食べるだけです。基本的に量が多いので、スープに浸った麺が伸びてしまい、後から苦戦するハメになる(ちなみにジロリアンの間では、それを“修行”と言います)ので、最後まで美味しく食べるコツとして、野菜をスープの下に潜らせ、麺を下から引っ張り出してその上にのせるとよいです。これを「天地返し」と言います。

 食べ終わったら丼をカウンターに上げて、サッとテーブルを拭いて速やかに退店しましょう。

 以上が『ラーメン二郎』の一連の流れになりますが、改めて「初めての二郎のオーダー法」をまとめてみると…

1.券売機ではラーメン小を選ぶ。ラーメン小で麺少なめor半分
2.ラーメン小でも豚はガッツリ入るが、もっとガッツリしたければ豚増しにしましょう。その場合、ラーメン小&麺半分は必須
3.「ニンニク入れますか?」と聞かれたら無料トッピングのニンニク・野菜・アブラのいずれかを伝える
4.残さず食べる。
5.丼をカウンターに上げ、テーブルをサッと拭いて速やかに退店する。

『ラーメン二郎』は各店舗で、微妙に異なるホームタウンルールがあったりしますが、基本的なポイントをおさえれば、どの店舗でも美味しい「ラーメン二郎」を楽しめると思います。

 今は、ご存知のように“インスパイア系”と言われる、亜流の二郎風ラーメンも全国各地で派生していますが、まずは、『ラーメン二郎』のホンモノの味を楽しんでみてください。

(撮影・文◎荒川治 監修◎土原亜子)

●プロフィール

荒川治

東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。