期待を裏切らない中身

JR「北大塚駅」から歩いて1分ほどの場所に『北大塚ラーメン』はあります。今どきの洒落たラーメン店とは違い、よくある街中華のようないでたち。ですが案の定、あの“激チャー麺”に魅せられた人々たちで行列していました。

店内に入ると、まるで醤油工場のような濃厚な醤油の香りが立ち込めています。券売機を見ると、ラーメンと激辛ラーメンの2種類で、それぞれチャーシュー麺があります。麺量は並、中、大。私は友人から紹介されていた「激辛チャーシュー麺」の中サイズ(900円)をオーダーしました。ちなみに並は850円、大1,000円です。

登場したそれは、写真以上の美しさでした。バラチャーシューは数えられるだけで12枚。さらに切り落としの端っこもたくさん隙間に隠れています。そして、肉味噌もゴロゴロと粒が思ったより大きめ。
チャーシューをかきわけて、麺をいただきます。まるで“油そば”のように、バラ肉の脂とラー油と醤油スープが麺に絡み、喉ごしよくツルツルと喉を滑り落ちていきます。

スープは真っ赤なラー油が表面を覆っていて見えませんが、レンゲを深く差し込み一口すすります。私は辛すぎるものは得意ではないのですが、ここのは“激辛”と名が付いていますが、じつは辛くても優しさを感じる味わい。
そして何よりも素晴らしいのは “ザ・醤油”を感じる濃厚な醤油味。ラー油の辛みが、醤油スープをキリっと引き締めていて、見た目とは裏腹にとても上品な味なんですよ。
そしてバラチャーシューも、見た目はざっくりとしたカットですが、ふわりと柔らかく口の中でとろけ、繊細な味付け。また、大量に載っかっているので、脂がたっぷりとスープに染み出て、コクが増しているんです。ちなみにくどさは全然ありませんからご安心を。

さらに食べ進むと、スープに混じる肉味噌が、とてもいい仕事をしていることがわかります。この肉味噌があるおかげで、最後の一滴まで味も食感も飽きることがありません。そういえば、台湾の屋台料理の肉味噌が入った「担仔麺」(タンツーメン)」と少し似ていますが、あれよりももっと日本のラーメンのように出汁や醤油の旨みが強い感じです。
ちなみに肉味噌は「ラーメン」の方には載っていないので、ぜひ「激辛」を注文してみてください。また、脂のコクの深みはチャーシュー麺ならでは。というわけで、常連客のほとんどが「激辛チャーシュー麺」を注文するんです。
私は、最初に食べてから4~5年通い続けていますが、毎回新鮮な気持ちで食べることができ、ますます“北大塚ラーメン愛”が深まっています。みなさんもぜひ、『北大塚ラーメン』の魅力にハマってみてください。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:北大塚ラーメン
住:東京都豊島区北大塚1丁目14-1
TEL:03-6328-9647
営:17:00~23:00
休:日・祝
●プロフィール
荒川治さん
東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。