和歌山・串本の家庭料理から生まれた『萬口』の絶品かつお茶漬け

お茶漬けは奥が深い。食後にサラッと残りのご飯をお茶でかきこむ、時にはかき揚げや刺身などとともに郷土料理の一皿として味わう。
そんな日本の食文化の一つとも言える「お茶漬け」が大好きな筆者。感動の一杯に出会ってしまいました。それが、和歌山県・串本にある人気料理屋『萬口(まんこう)』の「かつお茶漬け」です。こちらのかつおを食べて、目を見開いた。モチッとした弾力ながら歯切れがよく、濃厚な旨み。そこに臭みなどはまったく存在しません。普段食べているかつおと別格のよう。
「なぜこんなにおいしいんでしょう?」
「これがかつおなんです。としかお伝えできないですね」
萬口の店主、尾代孝哉さんがそう笑顔で答えてくれました。なんとも説得力のある簡潔な言葉!

お店は和歌山県本州最南端、紀勢本線の串本駅近くにあります。この串本町では町内の漁港で、黒潮が育む獲れたての魚介類が水揚げされます。中でも絶品なのが「かつお」。主にケンケン漁が有名な地域で、丁寧に釣り上げた鮮度も身の美しさも格別の“かつお”をお茶漬けで味わえると人気を呼んでいるのです。
秘伝のタレも絶品!締めご飯が口コミで広まった名物料理

このかつお茶漬け。最初は季節ごとの魚料理が味わえる『萬口』が料理の締めご飯として出していたそうですが、口コミで広まり人気メニューに。元々、この辺りの郷土料理として親しまれてきた一品でもあります。
![秘伝のタレが旨みを誘う [食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2025/05/20250525-maguro05.jpg)
和歌山では春の味覚として希少な「もちがつお」(釣ってすぐ血抜きすることで、身におもちのような弾力があるのが特徴)も有名ですが、実は時折、このお茶漬けにもこっそりと混ざっているというから驚きです。
「かつおは一本ずつ、味が違うんです。バランスよくさまざまなかつおを混ぜてお出ししています」と店主の尾代さん。

まずはおひつのご飯とかつおの漬けを半分のせ、タレをかけていただきます。早くお茶漬けをとはやる気持ちと裏腹に、漬け丼のおいしさに箸が進む。もちっとしていながら歯切れのいいかつおに頬が緩む。そして、秘伝のタレがその旨さを加速していきます。

お次は残りのご飯にかつお、タレ、海苔をのせ、お茶をたっぷりと。絶品のかつおをサラサラっとお茶漬けでいただく贅沢なこと。かつおの臭みのなさを改めて感じ、その優しい弾力と食感が絶妙にお茶漬けに合う。これは、これまで食べてきたお茶漬けの中でも、断トツにおいしい!
満腹コースを選んだら、さらに卵かけご飯のようにいただく「かち飯」で三段階のかつおご飯を楽しめるという素晴らしさ。

テキパキと笑顔でおいしい地元料理を提供してくれるスタッフの皆さんと接していると、串本という街の暖かさも感じることができました。いつか夕方から訪れて、萬口のおすすめ料理とともに一杯、といきたいものです。
●SHOP INFO
料理 萬口(まんこう)
住:和歌山県東牟婁郡串本町串本42-17
TEL:0735-62-0344
営:11:30〜15:00、17:30〜20:30
休:水曜(祝日の場合は翌日 ※臨時休業あり
https://www.kushimoto-mankou.com/