【李錦記の本社訪問】オイスターソースは奥深い。李錦記の香港本社に行って食べてわかった元祖オイスターソースの実力

【香港・李錦記の本社訪問】オイスターソースは奥深い。李錦記の香港本社に行って食べてわかった元祖オイスターソースの魅力とは
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●オイスターソースをこの世に生み出した李錦記。香港にある本社を訪問してわかったその旨さへのこだわりとは?

 オイスターソースといえば、中華料理はもちろん、実はかけダレとしてや、カレーの隠し味などにも使える万能調味料です。そのオイスターソースを開発し、この世に送り出したブランドが、スーパーなどでもよく見かける「李錦記(リキンキ)」です。

 その本社があるのは香港です。今回、特別に本社見学ツアーに参加して、オイスターソースの誕生秘話から、素材や製造方法のこだわりなどを伺い、さらに本社にある専用キッチンで作ったオイスターソース料理も試食してきました。

 いざ李錦記の香港本社見学の様子をご紹介していきましょう。

李錦記本社のエントランスロビーで驚愕

 2025年3月、香港にある李錦記の本社のエントランスをくぐると、そこにはど〜んと巨大なオイスターソースのオブジェがあり、その横には李錦記の2代目の代表・李兆南氏の像が鎮座していました。白翡翠でできているそうで、もうこの時点で度肝を抜かれます。まずこの場所で、李錦記のスタッフさん(もちろん香港人)からオイスターソースの歴史を教えてもらいました。

 オイスターソースの誕生は実は偶然の賜物だったそうです。1888年、広東省南水近くの小さな村で料理店を営んでいた創業者の李錦裳(リ・キンシェン)氏は、ある日、牡蠣を煮ていた調理中に火を消し忘れてしまいます。鍋底には、牡蠣の汁が煮詰まって焦げ付いていました。

 しかし、その汁は香りがよく、舐めてみると、今まで味わったこともないような深いコクと旨味を感じたそうです。李錦裳はこれを使って調味料を作れないかと考え、試行錯誤のうえ完成したのが、元祖オイスターソースというわけです。瞬く間にこの調味料の美味しさが広まり、オイスターソースの会社・李錦記を設立。

香港のスーパーでは『李錦記』オイスターソースも種類豊富に販売されています。日本で売っていないものもあるので香港に旅行した際はお土産にぴったり
香港のスーパーでは『李錦記』オイスターソースも種類豊富に販売されています。日本で売っていないものもあるので香港に旅行した際はお土産にぴったり

 2代目の李兆南氏の代になると、海外にもオイスターソースを広め、創業から137年経った今では、香港のみならず、日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国およびアジア各国と、世界100カ国以上で李錦記のオイスターソースが販売されています。

 そして興味深いのは、料理ジャンルを超え、世界中のシェフたちが李錦記のオイスターソースを愛用していること。しかも、広東料理をはじめとする中国料理だけでなく、和食、フレンチ、エスニックなどでもオイスターソースが使われているのです。

 さて、筆者も李錦記本社のキッチンでオイスターソースを使った料理をいくつか試食させてもらったのですが、中国料理以外にも実に多様な使い方ができることを知りました。その料理の一部をご紹介していきましょう。