常連も頼む「初めての秩父ホルモンセット」

メニューにある「初めての秩父ホルモンセット」は初心者向けかと思いきや常連の人も頼む定番メニューとなっています。たくさんあるホルモンメニューの中から9種類をちょっとずつ。お得に食べ比べができるメニューです。まずはこちらをオーダーで大正解!

お酒とお肉がテーブルに並び準備は万端!ホルモン劇場開幕します!筆者のオススメはまずはレバー。一般的にポピュラーなのって牛のレバーだと思いますが豚のレバーって食べたことあります?
数年前に初めてここで食べた時の感動は忘れられません。普段レバーが苦手だという人がハマっちゃう事案が秩父ではよく発生しています。新鮮な豚のレバーは臭みが全くありません。ハツ、カシラ、トントロと食べ応えある部位から生モツやタケノコなどマニアックな部位までひたすらに焼き、そして食べ、ビールが止まりません。




ダム建設から始まるホルモンヒストリー

「お店が出来た頃のホルモンといえば仕事帰りのお父さん達が食べてるイメージで、子連れファミリーは中々入り辛いお店ばっかりだったよね」
店主のアッコママこと本間明子さんが気さくに笑います。
秩父のホルモン焼きは昭和30年代頃のダム建設で関西のゼネコンが入り、やってきた関係者がお店を始め、しかも付近に新鮮なお肉が手に入る養豚場もあったことで文化が定着して今に至るんだとか。まさにホルモン焼きのガラパゴス!
秩父地域には今ではたくさんのホルモン屋があって、その数はコンビニより多いなんて言われていますが、老若男女ファミリーで気軽にホルモンを食べることのできるお店として、一番館は先駆者だったのでしょう。
座敷もテーブルもあって、牛肉のメニュー、サイドメニューも豊富で、ノンアルやソフトドリンクまで揃っている。こんな至れり尽くせりのお店はそう多くはないと思います。

「一番館はホルモン界のファミレスでありたいんだよね」
気軽に来れるファミレスのような店としてありたいとアッコママはそう言いますが、お肉のクオリティは間違いなしの専門店。
新鮮な豚のホルモンを丁寧に捌き、味の落ちる不要な部分を多めに取り、保存の仕方にも工夫をし、部位によって下味のタレや味付けも細かく変え、おいしく食べるためにあらゆることにこだわっているのだそう。
美味い!と一言で片づけるのがもったいないくらい。でも語彙力のない筆者は毎度素直に「美味い!」を連発するしかないのです。

週末は予約が必須かと思います。満席の状態でホルモンを楽しんでいるとだんだんと店内が白く煙っていく時があります。
けむい?それはご愛嬌。壁面には換気扇がずらっと並んでいますが皆がガンガン焼いていると、とても排気が追い付かない。一張羅を着てくるのはやめておいた方が良いと思います。
焼き加減にも注意が必要です。火力の強い炭火焼はお肉をしっかり世話してあげる必要がある。七輪も空気の取入れ口が調整できるので、あまりせっかちに火力を上げ過ぎずにじっくり焼くのが良いでしょう。
忙しくない時間帯、運が良いとアッコママがおいしく焼けているかチェックしてくれて、ちょっとお話しながら焼いてくれたりすることがあります。これがまた良い時間だったりするんです。



お食事だけ、おひとり様、ファミリーでも仲間同士でも。入り口は広くて一度ハマれば抜け出せなくなる一番館のホルモン沼。沢山食べてもリーズナブルなお会計に心も体もポカポカしながら店を後にします。次またいつ来ようかな。
●著者プロフィール
水野晋太郎
1979年生まれ岡山出身。酒好きの歌うたい。2019年に妻の地元・秩父に移住。初めて触れる秩父のアレコレに興味津々で2年間地元のラジオパーソナリティも務めた。知り合ってすぐ昔から知っていた気にさせるのが得意。
(編集◎ヨネダ商店)