名物女将が焼き上げるお好み焼きと漬物やきそばの味わいとは?

古民家風の店内の引き戸を開くと「いらっしゃーい!」と元気な声。眼の前には大きな鉄板が設えられ、その前で女将さんがお客さんと会話しながら手際よくお好み焼を焼いています。噂の漬物やきそばを注文しようとすると「お好み焼きも美味しいよ!」とひと言。その勢いと圧に押され、思わずお好み焼きも注文。

女将のマシンガントークと見事なコテさばきに見とれているうちに、あっという間にお好み焼が完成しました。「皿は要らんよね」とヘラだけ渡された筆者。慣れない手つきで鉄板上のお好み焼きを切り分けてヘラごと口にします。「ウマっ!」と思わず出たその声に女将がにんまり。

薄い生地の下に焼きそばと野菜がふんだんに入っている、いわゆる広島風お好み焼きで、ソースや青のりの香りが食欲をソソります。あまりの旨さに箸ならぬヘラが止まりませんが、とにかくすごいボリューム。一向にお好み焼きが減る気配はありません。その間にも女将は容赦なく漬物焼きそばを作る準備を始めます。

まずは女将がキャベツをはじめとする山盛りの野菜を鉄板に広げ、豚肉やソーセージとともに焼いていきます。さらにやきそばをほぐしながら焼き、野菜や肉と合体。次に鉄板で焼いた白菜の浅漬けを入れ、塩・胡椒、ソースなどの調味料で味付け。並行して焼いておいた目玉焼きをトッピングすれば完成。それにしても、こちらもまた量がハンパありません。

目の前で湯気を立てながらドデンと置かれた漬物やきそば、お好み焼きとはソースが違うようで意外なほどあっさりしています。麺の焼き加減も絶妙で、野菜や肉がよく絡んでいます。その中で白菜の浅漬けの食感と風味がキラリと光ります。うーん、旨い!お腹はとうに満腹なハズなのに一気に平らげてしまいました。
![目玉焼きを割るとさらにまろやかになって旨い漬物やきそば[食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2024/12/fd6e32f9cdd0129e3ada15ce6c2b68fb.jpg)
なぜ漬物? と女将に訊いたところ、豪雪地帯である安芸太田町エリアは、かつて冬場に生鮮野菜を入手するのが困難だったため、漬物を作り置きする習慣があったとのこと。ただ冬場は漬物が寒さで凍ってしまうため、焼いて食べていたそうで、それをヒントに地元の方々がご当地焼きそばとして考案したんだそうです。
ちなみに、この日は白菜の浅漬けでしたが「あまんど」では、大根やカブなど日によって漬物の内容が変わるそう。なるほど、漬物やきそばは雪深い安芸太田町ならではの食文化に根ざしたご当地グルメだったんですね。次に訪れた際は、別の漬物やきそばも試してみたいと思いました。
●SHOP INFO
店名:星の郷 あまんど
住:広島県山県郡安芸太田町上筒賀878
TEL:0826-32-2280
営:11:00~14:00、17:00~19:00
休:月曜