『キッチン キャロット』はなぜウマいのか?

『キッチン キャロット』は西荻窪駅北口の「西友」を抜けた先にあります。レンガ造りの壁が目印の、街の小さな洋食屋さんといった感じのお店です。
メニューは、すべてライス・みそ汁付きの定食スタイル。おかずはハンバーグ、ステーキ、チキンソテー、クリームコロッケなど20種類ほどあります。

メニュー選びのポイントは、やっぱりハンバーグが入っている定食を選ぶこと。私は「ハンバーグ&クリームコロッケ」を選ぶことが多いですね。その時々のおなかの状態に応じてハンバーグ増量(300g、450g、600gのいずれか)も可能です。
あえてイチオシメニューを挙げるとするなら、“大人のお子様ランチ”とも言うべき「ステ盛りチキン」(2150円)でしょうか。1つの鉄板にステーキ、ハンバーグ、チキンソテー、クリームコロッケがのっており、おかずが盛りだくさん。これ一つで『キャロット』のメニューのほとんどを味わえるんですよ。
さて、主役のハンバーグはボールのような丸型で、濃厚なデミグラスソースがたっぷりかかっています。お肉は牛100%。カットしてみると、ご覧の通り牛肉の鮮烈な赤色がなんとも見目麗しい。

空気の入り具合が絶妙で、柔らかく、しっとり、ふっくら。さらに牛肉とソースのダブルの濃厚な旨味で、正直、小躍りしたくなるほど美味しいです。
さらに、鉄板の真ん中にドカーンと鎮座するチキンソテーも素晴らしいんですよ。

鶏もも肉1枚を使ったチキンソテーは、カリッと焼き目のついた部分とプルンと柔らかい部分が共存しており、食べるととってもジューシー。酸味と甘味のバランスの良いトマトソースがめちゃくちゃ合います。
さらに赤身のステーキ。メニューには(牛とうがらしステーキ)と書いてあります。このとうがらしというのは唐辛子のことではありません。牛肉の肩甲骨あたりの赤身肉のことです。

握りこぶしほどある分厚い肉の塊をカットすると、中はピンク色のミディアムレアな焼き加減。脂肪分が少ない部位なので柔らかくはありませんが、噛むほどに肉のダイナミックな旨味を感じられる逸品です。振りかけられたガーリックチップ、そして卓上のニンニク醤油とわさびをつけると、さらに旨さ倍増です。
そしてこの“大人のお子様ランチ”の楽しみはこれだけではありません。チキンソテーの裏に、まだクリームコロッケが潜んでいるのです。薄衣でカリッと揚げられていて、中からとろ〜りなめらかで濃厚なベシャメルソースが溢れ出します。

このほか、揚げたてのポテトフライやインゲンのソテー、スイートコーンなどの副菜もたくさんのっているのも嬉しいところ。ポテトフライはカリッ&ホクホク、インゲンの丁寧な茹で加減と塩加減などなど、どれもこれも丁寧に作られていることがよくわかります。
そして最後に。定食屋さんで欠かせないのがご飯とみそ汁の美味しさですよね。普通盛りで注文しても一般的なお店の大盛りくらいの量のごはんが登場します。そして絶妙な炊き加減のごはんも、ダシの効いた味噌汁も、パーフェクトにウマいです。
![全ての定食にこのライスと味噌汁がつきます[食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2024/09/20240907-cyarotto09.jpg)
というわけで、タクシーのお客さんから教えてもらった『キッチン キャロット』。「タクシー運転手、やっててよかった〜」と思ったほどどハマリしています。みなさんも東京の行くべきお店の一つとして、ぜひスマホと頭のマップにピンを刺して、ぜひぜひ行ってみてください。
(撮影・文◎土原亜子)
●プロフィール
荒川 治
東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。