摩訶不思議な味?「お好み牛玉丼」

タブレットで注文を済ませてから、2分とかからず丼が運ばれてきました。漂う甘い香りは……牛丼じゃなくてお好みソースかな? 主役であるはずの牛丼のアタマ(具材)はほぼ見えず、細かく刻まれたキャベツと縦横無尽に引かれたマヨネーズのライン、その下にいるお好みソースがどんと幅を利かせています。

トッピング要員の鰹節と青のりは小袋入り、温泉玉子はセルフで割るように殻入りの状態です。これは端から完全体で食べるしかないでしょと判断、鰹節と青のりを表面にパパッと振りまき、具材の中央部に窪みを作って温泉玉子をでろんと乗せて準備完了です。

では、レンゲですくっていただきます! 最初に来たのはキャベツのシャキシャキ食感とお好みソースの甘味、続いてマヨネーズの酸味とコク、鰹節の魚介の風味、最後にご飯と…多分牛肉(笑)。見た目通り、いや見た目以上にお好みトッピングの主張が強いです。

キャベ・マヨ・ソースの味わいに鰹節と青のりの風味、さらに黄身を崩した温泉玉子のマイルドなコクが、緩めな生地のお好み焼き感を見事に再現しています。そして白飯と一緒に食べても何ら違和感ナシ。たっぷりのキャベツも野菜特有のエグ味が一切なく、また具材全体がご飯を進ませるおかずとしてしっかり機能しています。

一方、主役の座を奪われた牛丼の牛肉はというと、普段と全く変わることのない甘めの味わいに柔らかな食感。飴色に煮込まれた柔らかな玉ねぎも、いつもの牛丼感を思い出させてくれます。ただ、お好み焼きトッピングと合わさると、牛丼の具材の味わいが完全に一歩引いてしまう。というか、紅生姜を乗せるとお好み焼き感がさらにアップしますね(笑)。両者のテイストをしっかり味わって、あっという間の完食。ごちそうさまでした!
まとめ
お好み焼きの“強さ”をこんなところで感じることになろうとは……。そもそもがお好み焼きと牛丼を同時に食すこと自体が珍しいとは思います。ポジティブに捉えれば、一食でお好み焼きと牛丼を同時に食べられる、ネガティブに捉えるとするならば、お好み焼きでも牛丼でもない、どっちつかずの味わいを備えた一杯といったところでしょうか。
このテイストは恐らく、食べた人の好みで評価が真っ二つに分かれそうな丼です。筆者的には、“アリ”の美味しさでしたが、実食に関しては今回で十分に満足。お好み焼きはお好み焼き、牛丼は牛丼と、しっかり分けていただこうと思っております(きっぱり)。
お好み焼きテイストの牛丼という、好奇心を大いに掻き立てる味わいを備えた「お好み牛玉丼」。試してみたい方は最寄りの『すき家』で、その摩訶不思議な美味しさを存分に楽しんでみてください!
(撮影・文◎河西まさあき)