シンプル・イズ・ベスト! 素材の味で勝負する『天むす千寿』

まずは東海エリアで絶大な支持を誇り、ある意味「天むす」の代名詞的存在でもある『天むす千寿』をご紹介します。もともとは三重の元祖「千寿」から暖簾分けされた店で、「天むす」を全国に広めた有名店です。
名古屋市内には複数の『天むす千寿』がありますが、今回は大須にある本店へ行ってみました。お店は地下鉄・上前津駅から大津通を少し北に歩いたところにあり、現れたのは「めいふつ 天むす 千寿」と書かれたのれんがかかった老舗感あふれる門構え。手動の扉をガラガラと開ける感じも趣あり、期待が高まります。

筆者はここで「天むす(10個包み)」を購入。包装が渋く、ちょっとした差し入れや贈答でも喜ばれそうな印象を受けました。

さっそく、この「天むす」をいただきましたが、まず「お米が美味しい」というのが第一印象。お米には北陸産コシヒカリを使っているようで、一粒一粒がふっくらとしていてお米の旨みを強く感じられました。

さらに、食材には徹底的なこだわりがるようで、毎日仕入れる新鮮な小エビ、伊勢湾産の海苔、エビ天には最高級のコーン油が使われているとのこと。衣の中には三ツ葉とこしょうが入っており、海老天が入っているのに意外とサッパリとした後味。何個食べても全くしつこさがありません。素材の良さに加え、ご飯と海老天の大きさのバランスも素晴らしく、上品な味わいの一品でした。さすが「天むす」の代名詞的な『天むす千寿』だと思いました。
お米に創意工夫を取り入れた創作系「天むす」で人気の『地雷也』

次は、もう一つの人気ブランド『地雷也』の「天むす」をご紹介します。名古屋で1985年に創業した後発ブランドでありながらも、全国で数多くの店舗展開をしており、全国的な知名度はもしかしたら『天むす千寿』を凌駕しているかもしれません。

この『地雷也』で購入したのは「黒米天むす(5個入り)」と「高菜天むす(5個入り)」。『天むす千寿』の渋くカッコ良い包装に対し、『地雷也』は民芸調で、どこかかわいらしいです。こちらもまた差し入れや贈答などでも喜ばれそうな印象です。

さっそく「黒米天むす」からいただきます。黒米の香ばしさとモチモチとした食感があり、王道のシンプルな「天むす」とは一味違った味わい。黒米のため栄養価も高く、もち米のためかなり満足感も得られます。もちろん、中の海老天との相性もバッチリです。

さらに「高菜天むす」は、ややピリ辛で香ばしい高菜がご飯の随所にあえられており、一口かじると、シャキシャキとした感じとお米のもちもち感のコンビネーションが面白い食感。そして、この高菜がほんのり甘い海老天の旨みを惹き立てるようでもあり、これもまた美味。「より豪華な大人の天むす」といった印象を受けました。
まとめ:クラシカルな王道の味わいを求めるなら『天むす天寿』! 創作的な大人の味わいを求めるなら『地雷也』!
『天むす千寿』『地雷也』両者に共通するのは、冷めても美味しくいただける点。出来立てが美味しいのはもちろんですが、高品質の食材を使い、繊細な調理が施されているため冷めても具材の旨みが劣化することはほとんどないようにも思いました。
どちらが美味しいかは、正直言って甲乙つけがたいものの、それぞれを好みや用途によってチョイスすると良いように思いました。クラシカルで王道の味わいを求める場合は『天むす千寿』、創作的で大人の味わいを求める場合は『地雷也』こんなふうに選ぶと良いと思いました。
名古屋でどの店の「天むす」を食べようかと悩んだ際は、ぜひ、『天むす千寿』『地雷也』のどちらかをチョイスしてみると良いでしょう。自分で食べるのもよし、差し入れや贈答としても喜ばれるはずですよ。
(取材・文◎加賀ま波、松田義人)