ヘボ愛好家が育てた蜂の巣を競うコンテストも必見

会場の隅にはビニルハウスが設営され、トラックで巣箱が運び込まれていきます。ビニルハウス内では愛好家たちが丹精こめて育てた3キロ越えの巣が次々と取り出される、圧巻の光景が展開されるのです。







愛好家の方にお話を伺うと、とある巣はなんとエサ代10万円。ヘボは肉食なので、野生では成虫がハエやクモなどの小型の虫などを捕って幼虫に与えていますが、養殖の場合は成長ステージに応じて鶏肉やハツなどが与えられるそう。

育てた巣の販売価格は、1キロ1万円。超高級食材であるものの、ほぼ元はとれていない……ですよね? それでもやらずにいられない楽しさがあるのでしょう。文化の継承には、並々ならぬ熱量が必要とされるのですね。

ちなみに今回、コンテストで優勝した巣は6キロ越え。過去には7キロ越えの巣もあったとか。6キロというと、生後3ヶ月の赤ちゃんくらいでしょうか。重量には木くずで作られている巣の重さも含まれるものの、あの小さい幼虫がそれだけ詰まっているのはものすごいことです。

仲間が買った巣を持ち上げると、なかなかの重量。その重みから感じられるのは、愛好家のヘボ愛、栄養たっぷりのタンパク質、山の恵み、そして伝統と文化。ああ、いい祭りだなぁ。これから先、味わうヘボの味が、ますます美味しくなりそうです。
●著者プロフィール
ムシモアゼルギリコ
フリーライター。記事の執筆のほか、TV、ラジオ、雑誌、トークライブ等で昆虫食の魅力を広めている。昆虫食だけでなく、一般の食卓では見かけないような食材を追うのが好き。著書に『びっくり! たのしい! おいしい! 昆虫食のせかい むしくいノート』(カンゼン)、『スーパーフード! 昆虫食最強ナビ』 (タツミムック)