魅力たっぷりのEU発食材が続々日本上陸中! その理由をEU担当者に直撃してみた

魅力たっぷりのEU発食材が続々日本上陸中! その理由をEU担当者に直撃してみた
食楽web

 ひと昔前であれば、チーズや生ハム、オリーブオイル、ワインなど本場ヨーロッパの食材と言えば、レストランでいただくか、食材専門店などで購入するのが一般的でしたが、最近はデパ地下やスーパーなどでもよく見かけるようになりました。料理好きならずとも、家庭でこうした食材を手軽に使って、食事を楽しんでいる人が多いのではないかと思います。

 実はこうした背景には、EU(欧州連合)が積極的に日本はじめ世界へとヨーロッパの厳選食材の輸出を推進してきたという事情があります。国内を代表する食の見本市でもある「FOODEX JAPAN」でも、EUはブースを出展。ここ数年間、「ヨーロッパ食材と日本食材のパーフェクトマッチ」をテーマに掲げ、ヨーロッパの食材の普及を後押ししてきました。今回はその旗振り役でもある、ヤヌシュ・ヴォイチェホフスキ農業担当欧州委員が、さまざまな農業食品分野の生産家やビジネス関係者を伴い来日すると聞き、イベントに参加してきました。

EU関係者はもちろん、農水省の担当者やインポーターなど食に関係するさまざまな人が参加
EU関係者はもちろん、農水省の担当者やインポーターなど食に関係するさまざまな人が参加

 会場となったホテルに到着した時には、すでにカクテルパーティが始まっており、日本人や外国人で大賑わい。ワイン片手におのおの歓談を楽しんでいる様子です。会場の一角に目をやると、ヨーロッパの食材がずらりと展示されていました。今回はこうした食材のメーカーの担当者や生産家も参加していると言うから、話を聞くチャンスがありそうです。

 すると会場にヤヌシュ・ヴォイチェホフスキ農業担当欧州委員が登場。今回は特別にインタビューをする機会に恵まれたので、来日した目的やヨーロッパ食材について話を伺いました。

今回来日したEUのヤヌシュ・ヴォイチェホフスキ農業担当欧州委員
今回来日したEUのヤヌシュ・ヴォイチェホフスキ農業担当欧州委員

――ここ数年実施している「パーフェクトマッチキャンペーン」はじめ、日本におけるさまざまな活動に対しての手応えをお願いします

「EU は毎年FOODEX JAPANへ参加を続けていますが、特に今年、EU パビリオンには約 2万3580 人もの来場者がありました。パビリオンでは、料理ショーや製品指向のセッション、テイスティングステーションなどプログラムをはじめ、約 1万8119 件の試食・試飲を提供。ヨーロッパ食材への関心度の高さが伺えます。2019年にスタートした『パーフェクトマッチ』キャンペーンでは、第1ステージとして、EU の農業食品および飲料製品に対する認知度アップを掲げたところ、認知度が3~5%上昇。3つの厳格な品質ラベル(下の写真参照)の認知に関しても一定の成果を感じています。さらに2020年~2022年にかけての第2ステージでは、日本のスーパーマーケットとさまざまなプロモーション活動を組織し、全てのEU 加盟国の農産物を宣伝。プロモーション対象製品の売上が100~150% 増加しました。これらの成功と日本市場の重要性をふまえ、今後は2026年まで続くキャンペーン第3弾を予定しています」

左から、「PDO(原産地呼称制度)」、「地理的表示保護」、「EUオーガニックロゴ」など欧州保証品質ラベル
左から、「PDO(原産地呼称制度)」、「地理的表示保護」、「EUオーガニックロゴ」など欧州保証品質ラベル

――今回、EUの生産家やビジネス関係者とともに来日した目的を教えてください

「日本市場は大きく、消費者の要求も高いエキサイティングな市場ですが、一方で独自のルールやトレンドがあります。今回のミッションに参加する企業は、日本市場について学ぶことで、日本の消費者の嗜好に最も合う製品を提供するという目的があります」

――近年、ヨーロッパから日本への食品輸出が伸び続けている理由をどうお考えですか?

「やはり2019年に発効されたEU・日本経済連携協定が大きな要因だと思いますが、その後のコロナ禍を乗り越え、輸出がますます好調な理由としては、日本の顧客がEU製品の品質と安全性を理解し、高く評価していただいたからだと思います。また日本のみならず、例えば、メキシコ、韓国、スイスとの貿易協定により、EUの農産物輸出は10億ユーロ以上の増加となりました」

――今後の日本での展開予定をお願いします

「毎年参加しているFOODEXはもちろんですが、現在、2025年に開催予定の大阪万博への参加も検討中です。今後もEUの農産品がいかに日本の食生活に適応し、食文化におけるさらなる多様性に貢献できるかに注力したいと思いますのでご期待ください」

 このように、日本市場での手応えを滲ませつつ、今後の可能性についても語ってくれたヤヌシュ・ヴォイチェホフスキ氏。さらに今回のプログラムで来日した、各国の生産家や農産物食品関係者も同様に期待を寄せているそうです。

 まずご紹介するのが、ギリシャでバルサミコ酢を使ったドレッシングなどの調味料を発売している「Entopia Deli」という食品メーカーです。

「当社のバルサミコを使ったドレッシングは和食にもぴったり」とLiana Agrafiatiさん
「当社のバルサミコを使ったドレッシングは和食にもぴったり」とLiana Agrafiatiさん

「人口添加物は一切不使用で、フルーツなど100%天然由来の食材を使ったドレッシングを作っています。今回はプレミアム向けの商品を日本に紹介するために来日しました。マヨネーズを使ったサラダやサーモンなどにもよく合いますし、お寿司などの日本食にも相性がいいと思います。同社の製品はすべてナチュラルかつハンドメイドで作られいるので、クオリティの高さをぜひ体験していただきたいと思います」とは、同社担当のLiana Agrafiatiさん。

創業120年を誇るチーズブランドの4代目・Alexandre DISCHAMPさん
創業120年を誇るチーズブランドの4代目・Alexandre DISCHAMPさん

 一方、両手に美味しそうなチーズを持っていたフランスの老舗チーズメーカー「Fromagerie du Buron」のCEOであるAlexandre DISCHAMPさんにも直撃しました。

家族経営ながら、フランスのコンテストで多くの賞を受賞しているという
家族経営ながら、フランスのコンテストで多くの賞を受賞しているという

「当社は120年間ファミリーでチーズを作り続けているフランス中部のチーズブランドで、私で4代目となります。アジアでは香港とシンガポールにはすでに輸出しているのですが、今回、有望である日本のマーケットへの進出を目指して来日しました。実はフランスで最も多くの賞を取っている会社でもあるので、チーズのクオリティには自信があります」

 以上、日本市場にかける意気込みを語ってくれた2社ですが、今回のヌシュ・ヴォイチェホフスキ欧州委員の来日をはじめとするミッションにより、さらにEU食材の魅力が発信され、輸入が増えれば、我々消費者の選択肢が広がるのはもちろん、未だ知らない食材と出会えるなど多くのメリットがありそうです。EU食材の躍進は今後も要注目ですよ!

(撮影◎sono)