群馬で175年も愛されるローカルフード「花ぱん」とは？ 現地で食べてきた！

●群馬の桐生市・みどり市には、175年間も地元の人たちに愛される「花ぱん」という銘菓があるという。その秘密を探りに行ってきた！

　群馬県の南東部に位置し、栃木県との県境エリアにある桐生市・みどり市。古くから絹織物などが盛んでエリア内には産業遺産も多く、その長い歴史や伝統を感じられる場所が点在しています。

　このエリアの歴史の中で175年前に考案された銘菓があると言います。その名も「花ぱん」。地元スーパーマーケットなどでも見かけ、土産物店などでも目にするものですが、この「花ぱん」どういった経緯で誕生し、そしてどんな味わいなのでしょうか？

175年前に桐生天満宮の梅紋をモチーフに考案された！

「花ぱん」の誕生は、今から175年前の1848年（嘉永元年）。地元菓子店によって「子どもの学問と健康を願い考案された」と言われ、桐生天満宮の梅紋をモチーフにした花の形をしていることから「花ぱん」と名付けられました。

　卵と小麦粉を練って焼き、表面に蜜や砂糖をかけて仕上げたもので、外側は少し固めですが中はしっとり。外側の表面には白い砂糖の蜜がかかっています。ビスケットのようなサクサク感はなく、またベーキングパウダーを使ったパンのようなふわふわした感じもないため、不思議な食感となっています。日本茶にももちろん合いますが、コーヒー、紅茶などにももちろん合います。

　また、ベースの「花ぱん」の素朴な味わいと食感からアイスクリームと合わせていただくのを好む地元の人もいるとか。桐生市・みどり市界隈には、この「花ぱん」を提供する菓子店が複数ありますが、その中でも人気の『大間々 青柳』と『こまつ屋』の2つの「花ぱん」を食べ比べしてみます。

上品で香ばしい味わいの2つの「花ぱん」

『大間々 青柳』『こまつ屋』双方の「花ぱん」を並べてみると、まず色の違いがわかります。『大間々 青柳』のほうがクリーム色の生地に砂糖がかけられているのに対し、『こまつ屋』のほうは濃いめの生地に砂糖がかけられています。さっそく双方を食べていきましょう。

『大間々 青柳』の「花ぱん」は、生地の密度が濃い一方、ふんわりと仕上がっており、口に入れた瞬間、優しく溶けていきます。また、表面にかけられた砂糖が固まる設計になっており、このパリッとした口当たりも生地の美味しさをグッと引き上げてくれているように感じました。

　一方、『こまつ屋』の「花ぱん」は、生地の密度がさらに濃い印象で、強い口当たりを感じます。そして、香ばしく焼かれた生地に対し、表面にかけられた砂糖が絶妙のバランスを生み出し、より強い食べ応えを感じることができました。

　これらのことから、比較的上品に「花ぱん」を味わいたい場合は『大間々 青柳』、「花ぱん」本来の素朴な味わいと食べ応えを得たい場合は『こまつ屋』……こんな風に好み次第でチョイスすると良いように思いました。

●まとめ：群馬の桐生市・みどり市の地元の人たちに愛される「花ぱん」は、優しい口当たりの絶品銘菓だった！

　見た目の印象から、食べ比べするまではもう少し硬いお菓子なのかと思っていましたが、そんなことはなく生地は密度が濃い一方で、ふわっとした食感。そして、表面の砂糖の優しい甘味と融合して、溶けていくような絶品の味わいでした。

　和菓子でもないし、洋菓子でもない、でもお茶やコーヒー、紅茶にも合いそうな「花ぱん」。まさに唯一無二の桐生市・みどり市で育まれた「その地の美味しいお菓子」でした。群馬界隈、桐生市・みどり市界隈に行かれる方はぜひご賞味ください。お土産やギフトとしても、小さなお子さんから年配の方まで、多くの方に喜ばれるはずですよ！

（撮影・文◎松田義人）