創業時から変わらない作り方で作られる伝統の味「お好み焼き そば入り」

お店があるのは、経堂駅南口を出て農大通りを3分ほど歩いた場所の2階。お店の窓ガラスには大きく『お好み焼き 八昌』と書かれているため迷うことはないと思います。ビル横の階段を上がり暖簾をくぐると、大きな鉄板が置かれたカウンター席が目に飛び込んできます。

今回は、一番人気の「お好み焼き そば入り」をオーダー。焼き上がりを待つ間に、店主の坂本さんに、『八昌』がなぜ東京に1店舗しかないのか聞いてみました。
「創業は今年で22年。なぜこの店が東京唯一なのかというと、実は『八昌』では、暖簾分け店は首都圏に一つという暗黙のルールがあるんです。私が最初に東京でこのお店を始めたので、他の人はルール上、東京に出店しないんです」と教えてくれました。

レシピは、創業当時から変わらない本場仕込み。こだわりは焼き方にあり、生地は薄めにしてキャベツなどの野菜はなるべく押さえつけずにやさしく焼くのが美味しさのポイントだそうです。
「ペタペタ押さえたりせず、ゆっくり時間をかけて焼くことで、全体に熱を与えて、素材そのものの味を楽しめるようにしています。最後だけしっかり押さえて、表面を香ばしく焼き上げるのがコツですね」(店主・坂本さん)。
天かすとそばは広島から直送したものを使用。麺は本店でも使われている磯野製麺の中華麺。この麺は断面が四角いのが特徴で、どんな料理にもマッチするとのこと。また、味の決め手となるソースは、甘口のおたふくソース1種。これを生地に薄くかけることで、素材ごとの味をきちんと感じられる味に仕上がります。

鉄板の上でじゅうじゅうと焼かれるお好み焼きの香ばしい匂いに包まれ、食べる前からもう胃袋が完全につかまれた状態になってしまった筆者。まずはお好み焼きをヘラで半分に切りわけてみます。ヘラを入れた瞬間の「パリッ」という音がまた食欲をソソること。断面を見ると何層にも重なった綺麗なミルフィーユ状になっていて、これまた美しい…。

まずはそのままひと口。ほのかなソースの風味と、パリッと焼き上げられたそばとキャベツの優しくも歯応えのある食感が最高! 食べ進めるうちに、野菜の甘みが増して、箸が止まりません。
薄皮もカリッと焼かれており、食べ応え抜群です。途中から追いソースをすることで、ソースの甘みと酸味が追加されて、さらに美味しくなります。久しぶりに本場の広島お好み焼きを堪能し、大満足しました。
お好み焼きのこだわりは、マスターしか作らないこと!

坂本さんによれば、美味しさの秘訣は、なんと言っても本店の味を継承した坂本さんだけがお好み焼きを焼いていることだそうです。
「広島の『八昌 本店』は昼のみの営業で、お好み焼きしかメニューがないほどお好み焼きに注力しています。なので、暖簾分けをしてもらっている以上は、お好み焼きはブレずに修業先の味を守って行きたいと思っています。おこがましいですが、継承するという気持ちで焼いています」(店主・坂本さん)。
その言葉通り、提供されるお好み焼きは、どこか懐かしさもありながら、他のお好み焼き店では真似できない確かなこだわりを感じさせる唯一無二の味わいでした。
「夜も予約をとっていないのと、日によっては満席の場合もあるので、来店の数分前でも良いので電話をもらえれば店内状況をお伝えできます。こちらとしてもあまりお待たせするのは申し訳ないので、一度ご連絡をしてもらえると嬉しいです」とのこと。
(取材・文◎Marcia)
●SHOP INFO
店名:八昌
住:東京都世田谷区経堂1-21-18 HARADAビル2F
TEL:03-3428-8437
営:火~土/17:00~23:00(L.O.22:30)、日・祝/17:00~22:00(L.O.21:30)
休:月曜日、第1・3・5火曜日