担々麺が絶品すぎる! 千駄木の老舗中華『毛家麺店』がおいしい理由

中国人店主が作る担々麺が絶品! 千駄木の老舗中華『毛家麺店』がおいしい理由
食楽web

●東京・千駄木にある『毛家麺店』の「担々麺」が絶品とのウワサ。何がそんなに美味しいのが実食してきた。

 ナポリタンやカレーなど、日本で独自進化を遂げた海外の料理は多々ありますが、人気の高いグルメの一つに、担々麺があります。本場・中国の担々麺は、汁なしが主流で、日本で知られる「汁あり担々麺」は、実は日本独自のもの。

 今では、汁なしより汁ありの方が日本では広く知られていて、多くのお店が研鑽を重ね、独自の味を産み出しているのはご存知の通り。そんな日本式担々麺ですが、東京・千駄木に「担々麺ならココ!」と人気のお店があります。それが『毛家麺店(マオケメンテン)』。

 筆者も10年ほど前、初めて訪れた際、同店の「担々麺」を堪能して大感動。そこで今回、改めてその美味しさの秘密を探るべく、再訪してきました。

千駄木駅から徒歩5分ほど。店構えは、THE中華。“入りづらさ”はそこまで感じない
千駄木駅から徒歩5分ほど。店構えは、THE中華。“入りづらさ”はそこまで感じない

 お店の場所は千駄木駅から徒歩30秒ほど。ここは店の外観も特徴的で、びっくりするほど大きな毛沢東の肖像画を描いた看板が設置され、かなり独特かつ奇抜な雰囲気…だったのですが、毛沢東がない! 普通の店構えになっていました。なくなった理由が気になります。

「担々麺」のほか、「酸辣湯麺(スーラータンメン)」(900円)、「豆茅麺(トウヤメン)」(900円)、「蝦麺」(950円)など多彩な麺メニューが。さらに、一品メニューやアルコール類も充実
「担々麺」のほか、「酸辣湯麺(スーラータンメン)」(900円)、「豆茅麺(トウヤメン)」(900円)、「蝦麺」(950円)など多彩な麺メニューが。さらに、一品メニューやアルコール類も充実

 気を取り直して店内へ。4人がけのテーブル席が1卓、カウンターが8席と、程よいコンパクトさ。店内の棚には紹興酒が並び、BGMは中国の音楽。まさに中国一色です。

 というわけで、今回の目的である「担々麺」(950円)をオーダー。ついでに店主にオススメを聞いたところ、一品料理の「水餃子」と「春巻き」もオススメとのことだったので、そちらも注文し、到着を待ちます。

ミルキーで優しい辛みと痺れが最高にウマい「担々麺」

「担々麺」950円
「担々麺」950円

 待つこと10分弱。色鮮やかな「担々麺」が運ばれてきました。赤いスープの上に盛り付けられたパクチー、ネギ、胡麻、山椒などの色味と香りが鮮烈で、食欲をそそります。

「自家製ラー油にスープと麺を入れ、自家製のひき肉、ねぎ、パクチー、松の実をのせ、山椒と黒ごまをふりかけています。山椒の程よいしびれ感を感じてください」と教えてくれたのは、中国人店主のリョウさん。

店主のリョウさん
店主のリョウさん

 看板メニューの「担々麺」は、中国の担々麺をベースに、日本人の舌に合わせてアレンジした1杯だそうです。

「担々麺の命はゴマだれ、ラー油、ひき肉です。ラー油とひき肉は自家製で、ゴマだれは、工場にレシピを渡し特別に製作してもらって、お店で味を整えています」(リョウさん)

辛いのが苦手な人でも食べられる優しい「担々麺」
辛いのが苦手な人でも食べられる優しい「担々麺」

 鶏、豚、ねぎ、しょうが、しいたけなどを3時間以上煮て作るというスープは、清湯(チンタン)と白湯(パイタン)の中間といった感じ。干しエビのほのかな風味も感じられます。程よいコクがありつつ、清涼感のあるスープは、店主が20年以上改良を重ね生み出したものだそうで、「担々麺は、どこの店にも負けない自信があります」とリョウさん。

 山椒と胡麻の香ばしさを感じつつ、スープを一口。担々麺特有のこってり感もありながら、後味はとてもさっぱりしています。

モチモチ食感の麺が程よくスープに絡む
モチモチ食感の麺が程よくスープに絡む

 麺は、やや縮れた細麺。バランスよくスープに絡み、すすり心地も最高。パツンと切れる張りのある食感が印象的です。スープの中に入っている挽肉と麺がよく絡み、食べ進めるとしっかりと辛さも感じられます。気がつけば麺をすするのが止まりません!

〆として「小ライス」にスープをかけて食べれば最後まで美味しくいただける
〆として「小ライス」にスープをかけて食べれば最後まで美味しくいただける

 心地よい痺れと辛さを堪能しつつ、麺とスープを交互に楽しんで、あっという間に完食。もしお腹に余裕があれば、ぜひ残ったスープに「小ライス」(※平日15時までは一杯無料)を投入して、最後まで味わうのがオススメ。白米のほのかな甘みとスープのコクが相まって、これまた絶妙に美味しいんです。

裏看板メニュー!? モチモチ「水餃子」とパリパリ「春巻き」

店主のイチオシの「水餃子」500円と「春巻き」1本350円
店主のイチオシの「水餃子」500円と「春巻き」1本350円

 さて、担々麺のあとは、リョウさんイチオシのメニュー「水餃子」(500円)と「春巻き」(1本350円)もいただくことに。

 まずは水餃子から。多いときは1日20人前(100個)出るというこのお店の隠れ人気メニューだそうです。具は、豚ひき肉や白菜、春雨など。餃子に春雨という珍しい組み合わせにまず驚かされます。

 モチモチの皮に、食べた瞬間に肉の旨みがじゅわっと溢れ出ます。うーん、美味しい! 後半になると、春雨の食感、野菜の甘さもしっかり感じられます。担々麺が強めな味付けなので、優しい味の「水餃子」とベストマッチです。

「春巻き」は、エビやイカ、きのこ、枝豆も入った海鮮春巻き。なんと言っても、1本が細長い形をしておりカリッと揚げられているのが印象的です。

 サクサクの皮に、口の中に広がる海鮮の風味が絶妙。一般的な春巻きよりもサイズが多く、けっこう満足感のある一品です。海鮮のインパクトが強いですが、たけのこや枝豆などの素材の味もしっかり感じられるバランスの良さで、これまた美味しい。

まとめ

 最後に、リョウさんに気になっていた毛沢東の看板について聞いたところ、数年前にビルの外観工事のため肖像画を撤去したとのことです。復活の可能性については「どうするか悩んでます(笑)」と笑顔で教えてくれました。

 筆者はここの「担々麺」を約10年ぶりに食べましたが、昔は気づけなかったスープや具材へのこだわりが垣間見え、改めて感激。店主リョウさんの気さくで親しみやすい接客も心地いい。千駄木に行く機会があったら、ぜひ食べてみてください。めちゃくちゃ美味しいですよ!!

(撮影・文◎Marcia)

●SHOP INFO

店名:毛家麺店(マオケメンテン)

住:東京都文京区千駄木3-34-7
TEL:03-3823-0039
営:11:00~15:00、17:00~22:00
休:火曜