市場で働く人を支える濃いめの味わい|『菅野商店』(築地)

まずは、築地場外市場にある『菅野商店(かんのしょうてん)』から。『菅野商店』は、魚介の弁当をメインにしたお店ですが、おいなりさんも複数ラインナップしており、人気を博しています。ここでは「いなり(昆布)」300円をいただきました。

濃いめの味付けのお揚げと強めに握られたシャリがいかにも家庭料理的で、優しい味わい。添えられた昆布とわさびが複雑な味わいを醸し出していて、これまた美味。築地界隈で働く人たちの胃袋を支える庶民派おいなりさんで、昼ごはんにもう一品加えたいときなどに重宝しそうです。
おにぎりの名店のおいなりさんはやはりデカかった!|『おにぎり屋 丸豊』(築地)

続いて、同じく築地にある『丸豊』です。『丸豊』は「大ぶりおにぎりの名店」として連日行列ができる人気店ですが、果たしておいなりさんの味はどんな感じなのでしょうか。ここでは、「いなり(山菜)」280円をチョイスしました。

看板商品のおにぎり同様、大ぶりのおいなりさんですが、味は極めて繊細。お揚げの味付けは上品で、シャリの酸味も控えめ。山菜の味付けも、いなり自体の味を壊さないよう、あえて最小限の調味にとどめている印象です。この繊細な味こそが『丸豊』らしさ。素材本来の味わいを感じられる上品なおいなりさんに仕上がっています。後述する贈答メインの名店にも負けず劣らずの逸品です。
歌舞伎座観覧や贈答用の上品おいなりさん|『銀座 白金や』(銀座)

続いて、東銀座の歌舞伎座の裏手にある名店『銀座 白金や』のおいなりさんをいただきます。「白金や」と書いて「ぷらちなや」と読みます。その場で食べる弁当やおにぎり的なものではなく、贈答やお土産用のおいなりさんです。複数のおいなりさんがありますが、ここでは、一番人気の「連獅子(いなり2種)」をオーダーしました。

「連獅子」には、「山椒」と「胡麻」の2種が入っています。比較的小ぶりですが、お揚げに焦げ目を加えて香ばしさを引き出しており、生姜感も強め。サッパリいただけます。
「山椒」はよりすっきりした味わいで、「胡麻」はお揚げの甘さを引き立てる王道な味わい。そのオシャレな包装と合わせて、お土産や手土産でもらったら誰もが間違いなく喜んでくれるおいなりさんと言えそうです。
メディアでも話題! 老舗のおいなりさん|『川直氷室』(北区・滝野川)

続いてやってきたのは、北区・滝野川にある『川直氷室』。こちらのおいなりさんは、某雑誌の「お土産ランキング・いなり寿司部門」で1位にも輝いたこともある逸品です。滝野川の「台仲とおり商店街」にある小さなお店で、屋号の通りメインは「氷屋さん」。ですが、おいなりさんや、今川焼きなども販売する昔ながらの甘味屋さんでもあります。こちらでは「おいなりさん(5個)」をオーダーしました。

その味は、お揚げの食感をしっかり主張しつつも、全体的に優しい味付けでとても繊細。シャリは柔らかめで、食べやすくてどこか懐かしい。「これぞおいなりさんだ」と思わず膝を打ちたくなる味わい。都心部からやや離れた場所にある『川直氷室』ですが、おいなりさん好きなら必食のお店です。