ニッポン伝統の「食中酒」。本格焼酎と料理のペアリングはこう楽しむ

ニッポン伝統の「食中酒」。本格焼酎と料理のペアリングはこう楽しむ
食楽web

 日本酒と並ぶ我が国の伝統的なお酒である「本格焼酎」。諸説ありますが、15世紀にはすでに焼酎が飲まれていたと言われています。ところで皆さんは最近どんな飲み方で本格焼酎を楽しんでいますか? 水割り、オンザロック、炭酸割り……中には芋焼酎を前割りで飲んでいる本格的な人もいるかもしれません。そんな本格焼酎のさまざまな楽しみ方を、今回、虎ノ門にある『日本の酒情報館』の今田周三館長に伺いました。

飲みやすく料理にも合わせやすいよう、香りが大幅に進化

「日本の酒情報館」今田周三館長。館内では日本各地の本格焼酎や泡盛の情報を入手できるほか、試飲や販売も行っている
「日本の酒情報館」今田周三館長。館内では日本各地の本格焼酎や泡盛の情報を入手できるほか、試飲や販売も行っている

「日本酒が醸造酒なのに対して、本格焼酎はウイスキーなどと同じ蒸留酒。蒸留酒は基本的に“香り”を楽しむ飲み物です。本格焼酎は九州を中心とした地域で飲まれてきたので、他の地域ではなじみのない個性的な香りの飲み物だったのですが、最近ではフルーティーな香りや日本酒の吟醸香などの香りを強調した飲みやすい焼酎が多く登場するなど、若者を中心とした幅広い消費者に向けた品質に進化しています」(今田館長)

 そもそも焼酎は、日本酒の原料となる米があまり収穫できない南九州地域や島しょ部などで、日本酒の代わりに食中酒として飲まれてきたもの。だから飲み方も様々に工夫されてきたそう。

「例えば芋焼酎の場合、地元では前割りした焼酎を黒じょかという酒器に入れてそのまま温めて飲まれてきました。お湯割りはこの飲み方をアレンジした飲み方。焼酎は温めることによって香りが引き立ちます。ロックは冷たい飲み物を好む現代風の飲み方です。最近でこそ、ウイスキーを炭酸で割ったハイボールなどが一般的になりましたが、本来、蒸留酒を何かで割って飲む、さらには食中酒として飲むという飲み方自体が世界的に見ると珍しいんです」

 食事と相性の良いお酒として進化してきた本格焼酎。では具体的にどんな料理が合うのか、本格焼酎の種類別に見ていきましょう。

相性の基本を押さえておけばペアリングは無限! 本格焼酎の種類別、ベストマッチな料理レシピを厳選紹介
【01】すっきり軽いタイプの麦焼酎 × スモークサーモン

 麦焼酎の香りの基本は、ライ麦パンに近い香りやビールの麦汁、ナッツ、バナナなどです。洋風料理ならスモークサーモンなど、焼いたパンに合う料理と相性抜群です。

作り方

1.玉ねぎ1/4個をみじん切りにし、水に15分ほどさらして水気をしっかり切る

2.器にスモークサーモン60gを並べ、ケイパー大さじ1/2を散らし、玉ねぎと刻んだイタリアンパセリ、レモンの薄切りを添える

・オススメの飲み方
水割り、オンザロック

・今田館長コメント
北欧などでよく食べられるライ麦パンなどとベストマッチ。麦の香ばしい香りがポイントですね。麦チョコもすごく相性がいい。他に燻製料理などにも合います。

【02】フルーティーで華やかなタイプの芋焼酎 × 生ハムクリームチーズ添え

 蒸したさつまいもと米麹由来の香りが特徴の芋焼酎。ライチやマスカットなどフルーツを感じさせる香りがする最近に人気のタイプには、穀類の風味と脂が感じられる豚肉が相性抜群。豚肉に足したナッツ香やオイル感が美味しさをさらに引き立てます。

作り方

1.生ハムにクリームチーズをのせ、半割にしたミニトマト、松の実をトッピング

2.オリーブオイルを回しかける

・オススメの飲み方
水割り、ソーダ割り

・今田館長コメント
芋焼酎全般で言えば、やはり甘みのあるものととくに相性がいいと思います。例えば鹿児島の甘いさつま揚げなどにはよく合います。生ハムにはチーズやオリーブオイルをプラスすれば、オイリーさが増してさらに美味しくいただけます。

【03】濃厚なタイプの黒糖焼酎 × 鶏もも肉の照り焼き

 サトウキビから作る黒糖が原料の黒糖焼酎は、黒糖のフレーバーを感じさせる、カラメルっぽい香りが特徴。鶏肉の照り焼きなど、醤油と砂糖の甘じょっぱい味が好相性。素材や調味料の甘さを生かした料理がおすすめです。

作り方

1.鶏もも肉1枚を半分に切り、長ねぎ1/2本は3cm幅の筒切りにする

2.フライパンに サラダ油小さじ1を温め、皮目を下にして鶏肉を焼き、皮目がカリッとしたら、長ねぎとししとう4本を加え、両面をじっくりと焼いて火を通す

3.醤油大さじ 3、黒糖大さじ1、黒糖焼酎大さじ2、マスタード小さじ1をフライパンに加え、鶏肉をからめながらとろみが出るまで煮詰める

・オススメの飲み方
お湯割り、オンザロック

・今田館長コメント
黒糖焼酎のちょっと焦げたようなの甘めの香りには、豚の角煮や照り焼きなどが合います。甘辛いタレがかかった焼鳥などもつまみとしてベストマッチ。

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 以上、本格焼酎と料理のペアリングはいかがだったでしょうか。ちなみに今田館長の個人的なオススメペアリングは、「芋焼酎×豚肉料理、芋けんぴ」。とくに豚肉の脂の甘みが焼酎と相性が抜群で、普段からお湯割りにして、よくペアリングを楽しんでいるそうです。

「本格焼酎は蒸留酒の中でも、基本的に1度しか蒸留を行わない珍しい酒。だから素材の風味を感じやすく、さらに麹の風味が加わっていることから料理にも合わせやすいんです。最近では本格焼酎と料理のペアリングをコース仕立てで楽しめる店なども登場しています。ぜひご自宅で店で、本格焼酎と料理のペアリングを試してみて、本格焼酎の魅力ある世界を存分に楽しんでください」(今田さん)

●DATA

日本酒造組合中央会

https://www.japansake.or.jp/

日本の酒情報館

住:東京都港区西新橋1-6-15